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良質な状態を保ちつつ、酸味と甘さのバランスを味づくりすること。

公開日:2024年7月13日更新日:2024月07月13日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。

良質な状態を保ちつつ、酸味と甘さのバランスを味づくりすること。

スペシャルティコーヒーの良質な美味しさで問われるものは、酸味と甘さの美味しさの両者のバランスで成り立っていることは、スペシャルティコーヒーを好んで召し上がっている人は既にご存知だろう。

しかしながら、味づくりをしているボクを含めて焙煎士は、自分の感覚でしか味づくりが出来ないという欠点を持ち合わせている。
そのため、流されてしまうのだ。自分の好みの感覚に。

焙煎を四半世紀も取り組んでいると、技術的にバランスが取れるようになる。
バランスはローストの設定を調整して行うものなので、経験を積めばバランスを取ることはそれほど難しいものではなくなってくるものなのだ。

しかし問題は、良質な状態を保ちつつバランスを取ることと、好みのバランスを取ることでは雲泥の開きがあるものなのだ。
それは、感情を動かし感動を生むバランスであるのか、それとも感情が動かない美味しさを得るバランスなのかの違いによるものなのだ。

ボクは良質さを追求して味づくりをしている「つもり」であったのだが、そこの落とし穴が「好みに流される」という欠点であるのだ。
それは、無意識のうちに常に空いている穴であり、知らないうちに落ちてしまっていたりする穴であったりする。
だから常に自身の感覚に問い続けながら、選ばなければならないことに気づかされることになってしまうのだ。

世の中には、美味しいものは沢山ある。
しかし、感動する美味しさとは数えるくらいしか存在してはいない。
その感動するほどの美味しさを作り上げるためには、良質な状態から離れてはならないことを意味している。
そして、常に今以上の良質な状態を表現できる可能性を探し続け、良質な状態から遠ざかろうとした場合には、すぐに方向を正す必要性がある。
その役目こそが感覚であり、感情であり、感受性であり感性であるのだと思っている。

ローストで例えるのならたった1秒の差が、良質な状態から離れてしまう味づくりであり、そのたった1秒を動かすために、他の設定を見つめ動かしバランスを求めなければならないため、ローストは難しく、だから面白い。
そして、良質な状態を保ちつつ酸味と甘さのバランスを取ることは、神の領域であるため、それを成し遂げるためにいろんなことに取り組み続けなくてはならないのだとそう思っている。
神の領域は気まぐれであるため、その気まぐれさを常に安定して表現することを誰もが思い描き、いろんなことに取り組んでいる。
それがボクが思い描く、焙煎士と呼ばれる仕事なんだと思っている。

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