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重たい香りの特性とは。
公開日:2024年3月29日更新日:2024月03月29日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
あるお客さまが昼に喫茶コーナーでコーヒーを召し上がっていただき、トイレに入ってからお店を後にしてくださいました。
そしてボクは、仕事の最後にトイレ掃除をしてから帰ろうとトイレに入った瞬間に「乾燥機のドライなニオイ」がまだ残っていることに気づきました。
もう何時間も経っているのに、その「乾燥機のドライな重たいニオイ」がまだ残っていたのです。
香りの仕事をしている人ならば知っていることなのですが、「重たい香りは長く残る」ということ。
重たい香りはいろいろとあるのですが、香水や柔軟剤、今述べた「乾燥機のニオイ」、カビのニオイ、煙のニオイなど、長く香りを保たせることを目的に「重たい香り」をあえて混ぜる商品もあれば、その重たさがそのものの本質であるために登場しているものなど、さまざまな「重たい香り」が存在している。
その性質は、香りが長く残ることが挙げられる。
しかしながら、重たい香りの性質の中では、質が良い香りはとても少ないと認識をしている。
香水の主な成分である「ムスク」も重たい香りの代名詞であるが、本物はとても高価なため、人工的に作られた合成香料のムスクが安い商品ではほとんど使われる。
本物は重たさの中にも良質な香りが持ち合わせる感情の明るさが得られるのに対し、人工的に作られたムスクには重たい香り特有の感情の沈みこみが起こる。
なので、嗅覚が敏感な人たちの悩みとは、その重たい香りが「しんどい」モノであるのだ。
ボクはそこまで嗅覚が敏感ではないので、そこまで不快感を感じないが、敏感な人たちの中には症状がひどくなると、頭痛や気分が悪くなる人たちもいる。
しかし、多くの人たちは、その重たい香りを好みの香りだと認識している人たちが多いため、自分がまさかハラスメントの加害者になってしまっていることすら認識が無いことであるのだと思っている。
スメル・ハラスメントとは、両者の認識のズレが生んでいるハラスメントなのだとボクは思っている。
話しが少しズレてしまったが、実のところローストの燻り臭(煙のニオイ)は重たい香りなので、ある程度嗅覚が敏感な人たちには苦手なコーヒーの香りなのであるが、そこを好きな人たちも多い。
当店のコーヒーのローストの特徴は、ローストの燻り臭の重たさを登場させないように、極力ローストの甘さだけを登場させるようにしている。
なので、ローストの重たい香りが好きな人には香茶屋のコーヒーは物足りないことだと思っている。
が、しかし、重たい香りが苦手な嗅覚が敏感な人たちには、ローストがクリーンで素材の美しさが楽しめるコーヒーであることを理解できることだとも思っている。
自分はどのようなコーヒーが好きであるのか?
そこが自分自身で理解できるようになることで、自分の好みのお店が見つけれるようになってくるものでもある。