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味づくりと焙煎機の関係性。
公開日:2024年3月21日更新日:2024月03月21日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
ボクの中では、2018年以降のローストの考え方では、JCRCの決勝に進んだことで、決勝進出者5名のローストを見ることが出来たことがとても大きかった。
ボクが興味があったのは、ボクと同じFujiの焙煎機を使っていたF君の存在だった。
他の皆は、その当時の時代の流れの中にあるローストをしていたのに対し、F君のローストはFuji使いだからこそ気づけたローストをしていたからだ。
もちろん、ボクもFuji使いだったのだが、決勝ではF君とはまた異なる視点からのローストを施していたので、そんなローストの技法があるんだなぁと感心をしたのだった。
蓄熱性の豊な焙煎機の特徴は、ローストのフレーバーが抑えられる傾向にあることだ。
言うなれば、ローストのダメージが着きいにくい点にある。
あまりシビアに設定に取り組まなくても、それなりに味づくりが出来てしまうメリットがある。
なので、ダンパ装置をシビアにイジる必要もないため、蓄熱性の豊な焙煎機では、ダンパ装置が付いていないものも存在している。
今の時代の流れの中にあるローストの考え方には、蓄熱性が豊な焙煎機を使うことを前提としたローストの考え方が採用されているのだ。
しかし、Fujiはローストのフレーバーが豊に登場してしまう焙煎機なため、設定の影響を受けやすい焙煎機なため、ローストのフレーバーを技術を持ってコントロールしなくてはならないため、とても難しい焙煎機であると認識をしている。
だから、ローストのフレーバーを自在にコントロール出来ないことには、季節により移り変わる味づくりをコントロールすることが難しいのだ。
なので、今の時代の流れに沿ったローストの技法では、不十分であるため、ローストの成り立ちの理解を含めた取り組みをしないことにはコントロールの難しさが多分にあるのだ。
では、そんなに難しい焙煎機のどこに魅力があるのか?
それは、ローストのフレーバーが豊に登場する焙煎機は、素材のフレーバーの目減りが少ないことが挙げられる。
蓄熱性が豊であり、特に熱風式の焙煎機では素材のフレーバーの目減りが激しい。
もちろん、すべての熱風式焙煎機でカッピングをした訳ではないので、これは一概に言えないことなのかもしれないが、ボクたちの年代の焙煎士なら熱風式焙煎機のローストのフレーバーの目減りの激しさを知っている。
自家焙煎珈琲店が拡大した背景には、ローストのフレーバーを豊に登場させたいと考える味づくりがあったからだ。
しかし、その後にスペシャルティコーヒーと呼ばれるムーブメントが登場すると、コモディティコーヒーを使った長時間焙煎から、スペシャルティランクをより活かす短時間焙煎にローストの技法が移り変わっていくことになり、それに伴いローストの取り組みも変化していくことになったのだ。
誰しもが簡単に美味しく仕上げれる焙煎機を使いたい。
しかし、メリットとデメリットがどの焙煎機にも存在している。
メリットの方が上回れば、デメリットは目をつぶるものである。
味づくりにおいて、何を重要だと考えるのかで、焙煎機選びも変わる。
そして焙煎機選びは、味づくりの根本であるため、その時点で方向性が見えるものである。
どのような視点でコーヒーの味づくりを捉えるのか。
決めつけてしまうのではなく、発信している情報から選んでみることだと思っている。