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飲みやすいと、美しいのちがい。
公開日:2024年2月2日更新日:2024月02月02日
カテゴリ:良質さのお話。
よく耳にする言葉であるが、「飲み易くて美味しい」と表現される人がとても多い。
飲み易いものと、美しいものは別物である。
しかし、世の中の多くの人々は、「飲みやすい」ものと「美しい」ものを混同してしまっている。
それを同じだと認識をしてしまっているために、そのような言葉を使えているのだと推測をしている。
だがきちんと学ぶと、飲み易いものと、美しいものでは、その表現は真逆を意味している。
ローストにおいて、飲み易いは「アンダー」という表現になる。
要は長時間焙煎であったり、または熱量を抜いているために「アンダー」になる。
逆に位置する美しさの表現では、
ライブリー(瑞々しさ)、ブライト(明るい酸質)、トランスペアレント(透明感)、ストラクチャー(構造的な)などが挙げられる。
ローストの競技会においては、飲み易い味はマイナスポイントのため減点の対象となり、美しい表現が受け止められると加点の対象となる。
テイスティングは本来、素材を判定しなければならないためローストは見ないようにするのだが、ローストによって表現がなされているため、どうしてもローストが良いと加点の対象になってしまいがちであるのだ。
ボクたち焙煎士は、素材とローストの2つの美しさを学んでいる。
飲み易さを表現することは簡単であるのに対し、美しさを表現することはとても難しいものであることを認識している。
それを混同されている人とは、話が成り立たないことも理解をしてもらいたい。
だから、あまり喋らなくなるのだ。