読み物。
Blog
バランスという意味。
公開日:2024年1月5日更新日:2024月01月05日
カテゴリ:お菓子づくりのこと, 焙煎の味づくりのこと。
スペシャルティコーヒーのローストをしていて嫌と言うほど考えなければならないことは、「バランス」である。
良質さの意味には、「クリーンさ」が深く介入していることを知っている。
スペシャルティコーヒーのクリーンさとは、素材のクリーンさとローストのクリーンさである。
そして、コーヒーのバランスはローストによって導き出されるため、クリーンさを保ちつつも、ボリューム感を登場させることが難しいのである。
それは、ローストは濁りやすい性質があるため、クリーンさを求めることでボリュームが登場しなくなってしまうからである。
そこで、ボリューム感を登場させるために、フレーバーと酸味の両者を登場させることでボリュームが登場するようになるのだが、酸っぱい酸味は一般消費者には受け入れられないため、酸味に完熟した甘さを登場させることを理想とするのだ。
しかし、酸味を残しつつも完熟した甘さを登場させつつ、しかもローストのクリーンさを保つ設定を見つけることは至難の技であるのだ。
そのようなバランスをコーヒーの味づくりで求めていると、お菓子づくりにおいても良質な材料を使うことのバランスが難しいことに気づき始める。
お菓子づくりでのクリーンさは、材料から登場しているものであるので、すべての材料をクオリティ目線のクリーンさを意識した仕入れにしなくてはならない。
そして、そのようなクリーンさを持つ材料を集めると、クリーンな風味の出来上がりにはなるのだが、ボリューム感に欠けてしまうのだ。
それが、クリーンさの持つ特性となるからだ。
多くの一般的な消費者は、クリーンさという美味しさよりも、口内で感じるボリュームとバランスで美味しさを判断しがちであると分析をしているので、物足りなさを感じてしまいがちになるのだと考えている。
せっかく良質な材料を集めて作ったお菓子も、物足りなさを感じてしまったなら満足することは難しい。
そこで、コーヒーのローストと同じで、ボリュームを登場させつつもクリーンな良質さを保つバランスが重要であることが美味しさの理由であるように思うようになったのだ。
バランスの意味は奥が深く、そして求める理想のバランスを作りだすために、材料を吟味する必要性と、それに合わせたレシピを組み立てるスキルが、お菓子づくりのバランスであると思っている。
ちなみに写真のガレット・ブルトンヌには、コーヒーをほんの少量だけ入れるようにした。
しかし問題は、どのようなコーヒーが理想のバランスを得るのかである。
そうした緻密なバランスを求め出すと、お菓子づくりが楽しくなってきたのだ。