読み物。
Blog
ローストの味づくりとは。
公開日:2023年11月9日更新日:2023月11月09日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
もう28年目になるだろうか、そんな年数をコーヒーのローストに向き合っていると、いろんなことが感じられるようになってくる。
28回も四季を繰り返したことになる。
ローストは、コーヒー豆に焙煎機により熱を与える作業である。
当然ながら、コーヒー生豆は保管場所である焙煎室の室温とリンクすることになるため、大気の気温が変化すれば、おのずと生豆の温度も変化することになり、そして焙煎によって豆に与える熱量を変えてあげないことには、甘さや酸味の登場の仕方が変わってしまう。
なので、焙煎士の役割としては、思い描く味づくりのバランスを求めて日々変化をしている熱量の与え方を考慮しながら、それぞれの素材のロットごとのバランスを整えてあげることだと言ってもよい。
そのために四季の移り変わりにより、豆に与える熱量をどう設定として変更すれば良いのかを探求する技術が焙煎技術なのである。
そんなことをずうっと続けていると、どうやらハーフシーズンで設定の骨格の部分を変更する必要性があるように思えてきた。
これは、ローストされたコーヒーをカッピングして感覚としてそう思えている。
いつ頃から感覚としてローストが見えるようになったのかはもう定かではないのだが、ローストによって登場する茶色のフレーバーは、ロースト由来のフレーバーで甘さでもあり、くすみや濁りでも雑味と言われるものでもあると認識をしている。
そのローストのフレーバーが「どのように登場させるのか」がロースト技術でもある。
その「どのように登場させるのか」で、良質にもなるし、劣るものにもなるからだ。
そして、そのローストのフレーバーをどう解釈をして登場させるのか、そして素材の酸味やフレーバーをどうローストのフレーバーと合わせるのか?
それが、ローストの味づくりであるのだと認識をしている。
なので、まずは味づくりのイメージがあり、そのイメージから組み立て方という技法があり、そして実際にその組み立て方を設計図に変換し実際に設計図とおりに焙煎をする。
そして、検証のために設計図とおりに焙煎をしたコーヒーをカッピングをして、その設計図がイメージ通りのものであるのかを検証し、イメージ通りではなかっとしたなら、次のローストに向けて修正を施した設計図を用意する。
この繰り返しの工程が、ロースト(焙煎)と言う作業であり、ローストによる味づくりである。
そして、検証のためのカッピング・スキルは、生豆の仕入れのためのカッピング・スキルとはまた異なる。
ローストによる味の成り立ちを理解することが求められるのに対し、仕入れのカッピングでは素材のポテンシャルを判断するスキルが求められるためである。