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吉田博さんの木版画とコーヒー焙煎の共通点から。
公開日:2021年8月25日更新日:2021月08月25日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。, 良質さのお話。
ボクはモノゴトの成り立ちやその仕組みは哲学的にすべて繋がりがあるものであると考えている。
ですので、ボクが美味しいと思えるコーヒーを作り出すためには、良質さ=美しさを認識し、それを作り出すためのロジックに興味があり取り組むことにしています。
そのために、興味のある個展(美術館)に足を運ぶこととしているのです。
そして今回、静岡市美術館で開催されている「吉田博展」に興味があり、緊急事態宣言が出されていたのですが、この機会を逃すと今度いつ吉田博さんの個展を観る機会が訪れるのか分からないので、感染対策を心がけて、その美術館だけのために出向いてきました。
そして、本当に得るものが大きかった。
まず、木版画とコーヒーの焙煎による味づくりとは、共通点がとても多いということ。
これが理解できる人ならば、美しい版画のように、コーヒーを焙煎できるようになれるということ。
そして、驚いたことに、同じ板木を用いて、色を変え構図は同じでも、まったく印象の異なる版画にすることが出来るということ。
そして、その異なる印象にあるものは「空気感」でした。
それこそが「良質さ」であるとも言えます。
そしてここが、この吉田博さんの木版画の最も優れているところであると思った。
そしてその木版画の技法とは、その「空気感」を纏わせるためのロジックでもある。
ここが理解できさえすれば、ボクもコーヒー焙煎で、同じく「空気感」を纏わせることが出来るはずなのだと言えるのです。
そしてそのロジックのヒントは、昨年出向いた「ゴッホ展」にあった。
ゴッホが弟テオに送った手紙の中の文章に書いてあったあることを思い出した。
実は、その時記憶したその文章の中身は、その時のボクにはその意味が理解できなくて、なぜゴッホがそれを師匠から教えてもらったことに興奮して、テオに手紙を書いたのかが理解できなかった。
でも今、ボクはその意味が理解でき、ボクも興奮している。
そして、それを吉田博さんも理解できているからこそ、そういう「空気感」を木版画を通して表現ができていると言うこと。
これが木版画でなくて、水彩画や油絵だったとしたなら、ボクはまだそのロジックに気づけていなかったことだと思う。
木版画だったからこそ、それに気づくことができたのだと。
ただし、ロジックが理解できたことと、そのロジックを使い表現することはまた意味合いがちがう。
でも、とても大きな気づきであることには間違いないので、これからそれをボクのコーヒー焙煎の表現へと取り込むことになります。
すぐに結果が訪れることではないと思いますが、徐々に「空気感」を表現できるようにこれからのコーヒー焙煎がまた面白くなることは間違いありません。