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透明感の目線。

公開日:2023年9月16日更新日:2023月09月16日
カテゴリ:感覚のはなし, 焙煎の味づくりのこと。

透明感の目線。

これはコーヒーのローストの味づくりの話しである。
透明感は、とても大切な美味しさの基準のひとつであると考えている。
そして、良質さにおいても大切な基準のひとつである。

透明感とは、光が対象物を透過することを意味しているが、その対象物を光が透過することで対象物の色と光の色が混じり合わさるところが表現となるのだと思っている。

なので透明感のあるコーヒーをローストにより登場させるためには、まずはローストによって登場する茶色を透けないマットな茶色にしてはならない。
透明感のある透過するローストの茶色を登場させなければならないことは、論理的に理解できることだろう。

しかしながら、色の特性として茶色はマットな透けない色が登場しやすく、マットな茶色になると香りは「ザラついたり」「濁ったり」「くすんだり」してしまうため、それらのダメージと認識するマットな茶色は登場させたくないのだ。
だからこそ、ローストの透明感を登場させることは、焙煎士にとっては腕の見せどころなのだ。

簡単な話し、マットな茶色を登場させないようにすることは、「抜く」ということをすれば、意外と簡単かもしれないが、抜いてしまうと今度はボリュームや粘性、甘さや力強さが登場しなくなってしまうのだ。
透明感を登場させつつも、粘性のある甘さや味覚や触覚の刺激を含めたフルーツの酸味、そして芳醇なフレーバーを登場させることは、実は相反していて、矛盾しているのだ。

だからこそ、それらが登場していることが「良質」なのである。
焙煎士が目指す美味しさとは、そういうところの美味しさなのだと思っている。
そして、それらを登場させようと考えた場合には、生豆のポテンシャルにローストが左右されるのだ。
どんなクオリティの生豆でも、それを可能にするローストが施せる訳ではないのだ。
ここに気づいたのも、ローストを27年向き合っているが、この1年ほど前くらいのことなのだ。

なので、ローストは仕入れに左右される。
だからこそ、焙煎士は自分の思い描く味づくりのために、仕入れを吟味する必要がある。
なので、すべては繋がっていて、繋がりを考えて味づくりをする必要性があるのだ。

ここまでの話は、ロースト目線での良質なローストの透明感のお話しである。
そして難しいのは、生豆のポテンシャルとしての透明感はローストの茶色とは関係性が無いからである。
だからこそ、仕入れのためのテイスティング・スキルと、ローストによる味づくりのテイスティング・スキルは、まったく違うテイスティング・スキルだと言うこと。

何を見て、何を感じなければならないのか。
意図的にそれができるようにならなければ、仕入れとローストは繋がらないのである。

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