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いろんな目線の美しさ。

公開日:2023年9月15日更新日:2023月09月15日
カテゴリ:感覚のはなし

いろんな目線の美しさ。

とあるスーパーマーケットで、美味しいと思う飲むヨーグルトを見つけた。
そして、思いのほか安いのだ。

うちの奥さんは、感覚で「これ、たぶん間違いない。」と思いながら購入するのだが、その目線は「どこの会社が作っているのか?」や、裏の成分表の表示などを見てから購入をしている。
「どこの会社」は、その会社の他の商品を知っていれば、その会社の姿勢がフレーバーから素材選びやそのセンスを感じ取れる人なので、そういう箇所を見て「この商品なら美味しい可能性がある」を感じ取っている。

その飲むヨーグルトを飲んでみると、実際に美味しかった。
分析をしてみると、液体としての質感と量感の美味しさがあり、乳製品としてエサの臭みが感じられないので、きちんとした牛乳を生産をする酪農生産者から牛乳を仕入れていることが風味から窺える。

しかし、うちの奥さんが言うには「”果糖ブドウ糖”が使われているから、甘さには余分な物が含まれている感じがするよね。」と言っていた。

そう。
液体の質感と量感だけを評価した場合には美味しいと感じるのだが、ボクは甘さの質の評価が苦手なのだと改めて気づかされる。
液体の質感と量感の評価と甘さの評価は、見ている箇所が似ているけれど、実際違うのだ。

このように、良質さとは、いろんな箇所に感じられる「美しさ」を感じて評価をすることなのだと思っている。
だから、「美味しさ」は好みに走りやすいために、食品の「美しさ」を見ることは難しいのだ。

そして、何年学んでいても、人には苦手な箇所があるので、その苦手を分析をして徐々に理解していくことで、いろんな目線の美しさを感じられるようになるのだと考えている。

ちなみに、コーヒーの甘さは生豆に含まれる小糖類(ショ糖)がローストによって化学変化をし、香気成分や褐色色素に変化することでコーヒーのフレーバーの一因となっている。
ショ糖は砂糖の主成分なので甘く、ローストによってそのショ糖をどう表現させるのかが焙煎士の腕の見せ所のひとつでもある。

ローストするだけで、美しい甘さや、美しいフルーティな酸味、素材の持つフレーバー、美しい質感と量感を表現しなければならないので、美しいローストの味づくりは本当に難しいことであり、焙煎士がローストに魅了される理由もそこにある。

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