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見ている箇所を自覚する。
公開日:2023年9月7日更新日:2023月09月07日
カテゴリ:テイスティング, 感覚のはなし
テイスティングでクオリティを判断することの難しさは、自分自身が”どこを見ているのか”を自覚することだといえる。
これは何年学んだとしても、なかなか気づけないことなのだが、学ぶことで自分が見ている個所がどこなのかに”気づける時”がやってくる。
その際に重要になってくるのが、コーヒーテイスティングで学ぶ「クリーンカップ」「スイートネス」「アシディティ」「マウスフィール」「フレーバー」「アフターテイスト」「バランス」の各項目の意味なのだ。
ここに、コーヒーテイスティングの面白さと美味しさへの誘導が潜んでいることに気づくことになる。
テイスティングを学んでいないほとんどの人は、主観の美味しさが基準になっている。
だから、自分の基準の中で美味しいか美味しくないかである。
そうすると、上記で挙げた評価項目のどこを見ているのかは関係が無く、偏った「どこか」を見て美味しいと述べていることになる。
しかしテイスティングを学び始めると、”どこ”を求められる。
どこの項目の、どう美味しいのか?
そこが重要なのだ。
それは、そのまま見知らぬ人であったとしても”ここですよ”と、その個所を示せるからだ。
そして、どの項目がどう美味しいのかを感じられるようになると気づくのだが、食べること飲むことが学ぶ前以上に楽しくなっていることに気づくはずだ。
それは、いろんな微細な風味や質感、量感の変化に気づけるようになるし、そしてなにより”どんな材料が使われているのか”が、風味から読み取れるようになるので、口に含んだ瞬間から移りゆく風味を余韻までの変化を追いかけながら楽しむことが出来るようになるから、良質な材料はより感動し、劣る材料はより不快に感じられるようになる。
すると、値段が高い素材が必ずしも良質ではないことにも気づけるし、そして作る人のレベルも感じられるようになるので、料理から、お菓子から、コーヒーから、作り手がどこを感じて欲しいのかを感じることが出来るようにもなるのだ。
そのためには各評価項目のひとつひとつをしっかりと理解することだと思っている。
そこを学ぶことが核心なのだと思っている。