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クオリティの意味。
公開日:2023年8月19日更新日:2023月08月19日
カテゴリ:感覚のはなし, 良質さのお話。
何かを表現しようと取り組むと、他の何かは登場しなくなる。
透明感を最大限に登場させようとすると、粘性の豊さは登場しなくなってしまう。
粘性は質感でもあり甘さでもあるので、粘性を登場させようと取り組むと透明感は登場しづらくなってしまう。
これがローストの論理でもある。
しかし、あることに気づけることが出来たのなら、それこそがクオリティと呼ばれるものであることの意味でもある。
本当に素晴らしい素材の場合に限ってなのだが、透明感を登場させつつ粘性を登場させることが出来る素材があるのだ。
そういうものが、一般的には「あり得ない」という美味しさになるために、一般的よりもとても優れたものと言う称号を与えられることになる。
それがTopスペシャルティと呼ばれる称号なのだ。
Topスペシャルティは、スペシャルティコーヒーの中でも87point以上のクオリティに与えられる称号で、COE(カップオブエクセレンス)のクオリティがそれに値する。
だが、「しかし」がまだある。
実のところ87pointの内訳が重要なのだ。
クリーンカップ、アシディティ、マウスフィール、フレーバーのこの4つは6.5point以上なければ、そのようなローストは出来ないのである。
なので、それぞれの評価項目で6.0pointと6.5pointの違いを理解し、それらの目利きができるようにならなければ、そのようなローストも出来ないのである。
だからこそ仕入れの目利きが重要になり、そしてロースト技術が重要になる。
これが、焙煎士に求められる技術になるのだが、良質なローストが難しいのは、その2つの異なるスキルを取得することの目線が異なるためである。
だから、ローストが上手な人は生豆の仕入れのためのテイスティングが苦手であり、生豆の仕入れのためのテイスティングが見える人はローストが苦手なのは、お互いの見る目線が異なるためでもあるからなので、2つのスキルを取得することは、とても時間が必要になる。
ボクの場合だと、25年かかってしまった。