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おいしい酸味のあじわいかた。

公開日:2023年8月18日更新日:2023月08月18日
カテゴリ:感覚のはなし, 良質さのお話。

おいしい酸味のあじわいかた。

先日来店されたお客さまが、メニューを見て
「酸味が好きなので、どれがオススメですか?」
と聞いてきた。
そして説明をするとエチオピア・イルガチェフェ・イディドを注文してくださり、店内で召し上がってくれた。

7~8分くらいで召し上がってくださり、
「飲んだ豆と同じものを買いたいのでください。」
と言って注文をしてくれました。

ここでボクのおせっかいが発動する。
キーワードは「酸味が好き」と述べていたことで、7~8分では良質な酸味はまだ登場していないためである。
そこで、飲み方に問題があることを指南しました。
それは知識でもあるけれど、感覚で感じるものでもあるからです。

当店の抽出は、良質な豆の仕入れとローストで味づくりをしたすべての成分を豊に登場させたいために100°Cの熱湯で浸漬法で4分間浸け置きして、時間になったらオリジナル不織布フィルターで液体だけを濾過する手法を取ります。
これは言い換えると、良質な酸味を存分に楽しむために開発をした抽出法なのです。
そのための仕入れとローストをこれまでの経験から取り組んだ成果であると言ってもいい。

そして、抽出されたコーヒーの液体は、抽出直後はローストの甘いフレーバーと素材の酸味のフレーバーが入り混じって登場しているが、どちらかといえばローストのフレーバーの方が割合が大きいので、温かい状態ではローストの甘さと粘性、そして背景にある酸味が少し顔を出しながらローストのフレーバーと酸味が融合している。
その状態では、まだきちんと酸味は主張はしていない。

そして、徐々に温度が下がってくることで、ローストのフレーバーは徐々に鳴りを潜め、液体の粘性もローストの粘性から素材の粘性へと移り、そして酸味の本質の部分が顔を出してくる。

意外とスペシャルティコーヒーの楽しみ方に気づいていない人が多く、一般的なコーヒーの「冷めると美味しくない」をそのまま鵜呑みにして、スペシャルティコーヒーの特にアシディティ(酸味特性)が6.5point以上(COE評価)あるコーヒーの素晴らしさとその楽しみ方を知らない人が多いのです。

そして、表現とは「素材を見抜くチカラとそれをローストによって引き出すチカラの両者が揃って初めて出来る技。」
素材がいくら良くても、それを引き出すローストの技術力がなければ、良質なフルーツの酸味は登場しないのです。
それくらい、フルーツの酸味をきちんと表現することは難しく、だからこそ、その酸味を楽しみたいのなら論理的に考えて抽出を行い、そして論理的に考えて召し上がることなのです。

今の時代はSNSが普及をしたために、間違った理論を検証なされないままに正しいと信じている人がとても多い印象を受けます。
そのために感覚の感度を磨く必要があり、感覚により分析が出来るようになることで、その理論を感覚により検証をして、それが正しいか否かを判断する。
きちんと検証がなされた道理をボクは論理と呼びます。
食料品の場合には最終的に官能検査で検証をすることで判断がなされているので、嗅覚・味覚・触覚の3つの感覚で検査を判断する必要性があるので、その3つの感覚を常にトレーニングしなければなりません。
今の時代は、食が安全なので嗅覚を使う必要性が薄れたことで、嗅覚が衰えている人が多い時代です。
なので、香りの情報よりも主に口の中で感じる美味しさを優先する人がほとんどです。
香りの情報はダイレクトに脳で処理をされるので、口の中で感じる味わいと脳で感じる香りの情報を融合させることで、本来の美味しさが楽しめます。
酸味の良質な香りの情報には、うっとりとするくらいに美しさがあるものです。
それが、感じられるようになると、良質なスペシャルティコーヒーはゆっくりと飲めるようになり、酸味が素晴らしく美味しいことを感じられるはずなのです。

だからこそ、ボクはテイスティングを学ぶことを勧めているのです。

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香茶屋では、店主である私が歩んできた道を分析し、感覚が成長していく歩み方を伝えてゆくことで、正しいロジックのもとで各講座の「学ぶ。」が運営されています。

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