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素材を信じる。

公開日:2023年8月16日更新日:2023月08月16日
カテゴリ:お店のこと。, 焙煎の味づくりのこと。

素材を信じる。

展示内容に興味が湧くと天竜にある秋野不矩美術館に度々訪れている。
昨日も足を運んでみた。

美術館に赴くのは、作品を観るだけではなくて、作者の意図や思いを添えられている言葉から読み取りたいと考えているからでもある。
そして、それらの言葉と作品を通じて絵画に込められている作者の感情や思いやその熱量などを受け取り、ボクの作るコーヒーにその論理を転化させたいと思いボクは美術館へと赴く行動をとっている。

とある作品の添書きに目が止まった。
師匠である秋野不矩さんが弟子によく言った言葉であるのだという。
「岩絵の具から受ける絵の具の特性だけを生かしなさい。」
「絵の具自身が一つの思想であると私は受け取っています。」
そう書かれていたのです。

その添書きをメモしていると、館長が解説をしにきてくれたので、その際にこの添書きの言葉のことについて聞いてみた。
するとその館長さんが教えてくれた言葉があった。

『私の師匠に言われた言葉なのですが「素材を信じなさい。」とよく言われました。』
というのです。
あなたは、素材の特性ことがちゃんと分かっていないのに、表現をしようとするから思うような表現ができていないのだと。
だから、素材の声を聞きなさい。そして素材を信じなさい。
と言われたそうなのです。

それを聞いて表現とはすべて同じなんだなぁと思ったのです。
コーヒーの場合での素材は、コーヒー生豆です。
そのポテンシャルを見抜く仕入れが、素材を見るということで、仕入れたその素材を信じると言うことです。

ボクも昨年からコーヒー生豆のポテンシャルによってローストを細かく変えるようになりました。
それは、ローストに耐えられる豆と耐えられない豆があることに気づけたからです。
当然ながらローストに耐えられるポテンシャルを持った豆は良質な豆で価格もそれなりに高くなります。
それに対してローストに耐えられない豆は、スペシャルティコーヒー・ランクの中でも品質は低くなり、お値段も比較的安価になる傾向があります。
ただしこれは傾向があると言うだけで実際は価格が高い豆ならローストに耐えられるかと言えばそれはイコールにならない。

だからこそ、仕入れでローストに耐えられる豆かどうかを見抜く目はとても重要なのです。
そして、その仕入れで選んだ素材を信じて表現をしてあげれば良いと言うことなのだと解釈をしました。
素材の声を聞いて、その素材のポテンシャル通りに表現をしてあげること。
それがローストの味づくりという表現だと言い換えることができます。
そしてそのコーヒー豆の持っている特性を活かす抽出をしてあげればよいだけなのです。

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