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茶色の特性の理解が表現を深くする。

公開日:2023年8月5日更新日:2023月08月09日
カテゴリ:感覚のはなし, 焙煎の味づくりのこと。

茶色の特性の理解が表現を深くする。

ローストのフレーバーが茶色だということは、もう7〜8年前から気づいていたこと。
そこに気づけたことで、茶色の特性にも幾つかは気づいてきたけれど、茶色の特性をきちんと把握しなければと思ったのはつい最近のことになる。
それには東山魁夷さんの色に対する特性の理解の深さに感服したことからだ。

今までに気づいてきていることには、色と形に感情が宿っているということである。
テイスティングで、色と形を感じ取れる人ならば、ボクの述べていることは理解できるであろうと思う。
だからこそ、コーヒーの表現ではローストによってもたらされる、茶色の色と形をイメージし、どのように表現をするのかが問われる。
それには、まずは色と形を感じられることであり、次にそれを実際に表現をするための技術的な知識と経験値が求められる。
それら全体をロースト技術と呼ぶのである。

まず色の三原色を使うことの茶色はマットカラーになりやすいという特性があること。
しかしローストの場合は、光の三原色となるが、それは香りの色でもあり、それはそのままローストの茶色に当てはまる。
マットな茶色は「沈んだ、重たい、艶やかでない」などの印象があるが、透明性のある茶色になるとその印象は別物となることに気づいている。
なので、ローストの茶色の彩色はロースト技術であり、透明性のある茶色は技術的にも難易度が高く、透明性があるからこそ透けることで透過するため、背景に配置をした素材の彩色も同時に感じられることになる。
ちなみにコーヒーの場合における背景に配置される素材の色は、柑橘系のレモン色から始まり徐々に華やかに移行し、最もボリュームが大きくなるベリーの紫色までとなるが、スペシャルティコーヒーランクでなければこれらの色は登場しない。

そして、マットな茶色になるとその輪郭はくっきりとシャープに印象つけられるため「形」を持ち始めるのだが、マットな茶色では「濁り、ザラつき、くすみ」などのダメージと受け取られるフレーバーも登場してしまうが、透明性のある茶色の場合では輪郭も透けるためにくっきりとシャープな輪郭は登場しづらくなるが、豆のポテンシャルが高い場合に限り、透明性の茶色を登場させつつ、輪郭をくっきりとシャープに印象つけることも可能となるため「形」も使えることができるようにもなるため、仕入れによる豆のポテンシャルの高い豆を使うことで「色と形」の感情を表現させる2つの要素の両者を使うことができるようになるために、「非凡さ」と言う一般的にはあり得ない味づくりを登場させることも可能になるのだ。

そして、マットな茶色が与える印象は、「孤独、悲しみ、閉じる、自己的」などの印象が強いと思っているが、透明性のある茶色は、「寄り添う、融合、調和」というマットな茶色とは正反対に位置する印象を持つ。
ゆえに、焙煎士はどの距離感の茶色を表現したいのか、また実際に表現できるのかが、焙煎士の思い描く心象風景となるのだと思っている。

だからこそ、茶色の持つ特性の意味の理解はコーヒーのローストにおける表現の幅を深く導いてくれるものであると考えている。
どういった茶色を表現するのか?
それが焙煎士としての表現の面白さであり、そして消費者へと伝えることができる感情の表現であり、それは明日を生きるための活力になるものであると考えている。

良質な茶色の表現には、そういったチカラを宿らせることができるのだ。
だからこそ、それを美しく表現をすることで、美味しさだけではない感情を表現している部分まで飲む側は受け取ることができるものなのである。

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