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お菓子づくりは、素材選びから。
公開日:2023年7月6日更新日:2025月02月22日
カテゴリ:お菓子づくりのこと

お菓子づくりを再開するにあたって、17年間お菓子づくりをしていて既にお菓子づくりの素材の核の部分には気づいていたので、まず以前にも使っていた「有精卵」を購入しました。
お菓子の風味の核心は「卵」なのだと思っているからです。
どのような卵を使うのか?
それが、そのお店のお菓子づくりの核心の部分なのだと考えています。
これは、これまで取り組んできたコーヒーテイスティングのスキルが向上したことから理解ができたことでした。
そして、その次に重要になってくるのが「乳製品」だと認識をしていたので、バターと牛乳を選ぶことになりました。
何種類かの中から、実際に食べて、そして実際にお菓子を作ってみて、そしてそれを食べての繰り返しからバターと牛乳を選びました。
良質な食材とは生産するために手間暇が必ずかかるため生産量が当然ですが少なくなり、価格も高額だったりします。
これは、コーヒーでも卵でも牛乳でもなんでも同じです。
良質なものを作ろうとすると目の行き届く範囲の量しか生産ができない。
これが、良質なものを作り続けることの本質でもあります。
当店は、お菓子屋さんではないし、コーヒーのお供として、そして良質さとはコーヒーでも、お菓子でも同じだと思っているので、お値段が高くなっても体と心が喜ぶ良質な素材を使ったお菓子を食べたいという人に届いてもらいたいと思って作っているだけなので、お菓子づくりを再開するにあたっては、素材のひとつひとつをきちんと全体のバランスを読み取りながら作っていきたいと思って取り組んでいます。
ここで、コーヒーでずうっと取り組んできた「テイスティング」が活かされています。
スペシャルティコーヒーのテイスティングでは、クオリティ(品質)を判断しなければならないからです。
要は「劣るフレーバー」が登場していないという一般流通の商品の中には無い、良質な香りを持つ素材を見つけて仕入れをすることがコーヒーテイスティングから学んだことであり、そういう仕入れが可能になったからこそ、お菓子づくりでも良質な素材選びが大切だと考えているのです。
そして、口の中のバランスだけでなく、香りを含めたバランスの取り組みはローストの味づくりの応用です。
これは、素材どうしの混じり合わさり方のバランスも見ています。
何か一つ混じり合わない、もしくは、他の素材が活かされない素材は使うべきではないので、そういった相性が合わない素材は使わないように、良質な素材の組み合わせを考えて素材を選んでいます。
小麦粉も国産のものの中から実際にお菓子を作って食べて選んでいますが、今まで小麦粉でこれほどまでに印象が変わるとは思っていなかかったので、小麦粉選びって大事なんだと改めて思い知らされています。
そして砂糖選びもそうです。
使う砂糖で印象がガラッと変わります。
そういった、素材選びをひとつひとつしていくことで、改めて「使う素材の集合体がお菓子づくりなんだ。」と思えてきました。
それは、「その素材を使うことの意味」でもあることに気づかされます。
なぜその素材を使いたいのか?
その意味が風味となって登場している。
当たり前のことなのかもしれませんが、以前のボクだったのならこのコメントは書けなかったことでしょう。
ですので、これからの香茶屋のお菓子づくりがどのように変化していくのか、それが楽しみなのです。