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焼き菓子に使っている「有精卵」について。
公開日:2023年7月2日更新日:2023月07月02日
カテゴリ:お菓子づくりのこと, 良質さのお話。
今年の4月からお菓子作りを再開し、焼き菓子の販売を始めておりますが、その再開にあたり「厳選した材料を使う」ことを念頭において再開を始めました。
それは、なぜか?
コーヒー・テイスティングのスキルが向上してしまったことの弊害でもあるのですが、一般流通している卵や乳製品の「劣る香り」に気づいてしまうようになってしまったため、新型コロナのパンデミック前まで使っていた材料では納得がいかなくなってしまった背景があります。
要は「臭み」に対していろいろと気づくようになってしまったのです。
スペシャルティコーヒー同様、お菓子作りでも良質な素材を使いたいと思うようになり、そこにパンデミックで喫茶コーナーのお客さまが激減したことから喫茶でのお菓子作りをやめてしまったのです。
しかし、今年5月から新型コロナでの人の流れの規制が無くなったことや、他所で買って食べるお菓子がなかなか納得のゆく素材を使っておらず、「それならボクが作った方が美味しいお菓子が作れるのに」と思ったことが再開のきっかけとなったのです。
そして、厳選して選んだ「卵」は、臭みが感じられない「有精卵」でした。
「卵の臭み」の原因は、「エサ」と「生育環境」だと言われています。
どんなエサが良くて、どんなエサが臭みの原因かは、専門家では無いので分かりませんが、テイスティングで判断することで、どのような卵を使えば良いのかは判断できますので、いろいろと購入した中で「臭み」と感じられなかった卵を使うことになりました。
それが、今使っている「放し飼い有精卵」です。
調べてみると、「有精卵」と表示できるには日本卵業協会の条件があることも知りました。
「雌鶏100羽に対して雄鶏5羽以上の割合で、平飼いもしくは放し飼いなど、自然交配可能な環境で採卵されたもの。」
と言う条件をクリアしている有精卵には、「有精卵」の表示が可能だと言うことです。
ですので「有精卵」の表示があることで、平飼いもしくは放し飼いでなくてはならないと言うことです。
現在使っている卵である「放し飼い」のメリットは、ゲージ飼いの無精卵の環境と比べると、自由に動けるためストレスが軽減したり野生に近い環境で体を動かせることで、太陽の光を浴びながら、広大な放牧地での放し飼いは草や虫などの自然の餌や、大地の有機ミネラルを自ら摂取することが可能になり健康で病気にかかりにくくなるため、薬剤を与えることが少なくて済むことも卵の美味しさの一因であると言えます。
また、飼料の原材料にも配慮がされていて、遺伝子組み換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っているそうです。更に、ハーブをブレンドすることで、鶏の免疫力を高めるとともに、たまご特有の臭みをなくしていると記載があります。
ボクはコーヒーの良質さをずうっと学んできて、気づいています。
良質なものを生産するためには、「なんで、良質になるのか?」と言う背景であるロジックを理解することから始まります。
卵の臭みを登場させないようにするためには、最終的には飼育されている「鶏」のことを想ってあげる愛こそが、良質な卵の生産に結びついているのです。
いかに、鶏が元気でストレスが無く、そして居心地の良い環境を与えることができるのか。
安すぎるエサには、安い原因があるものです。
どういうエサを与えると臭みが登場し、どういうエサを与えると臭みが登場しなくなるのか?
そのエサを与えた卵を人が実際に食して、感覚で判断をするしかありません。
なので、その判断をする人の感覚に左右してしまうということなのです。
良いものを生産すると言うことは、自分の仕事への誇りにも繋がり、そして未来への持続可能な循環のサイクルとも繋がっているのだと考えられるのです。
当然、その生育には手間暇がかかりコストも高くなるために、卵の価格も高くなります。
だからこそ、その美味しさをしっかりと味わい、一般流通している卵では満足できなかった美味しさに心が癒されるのです。
香りが物語る美味しさには、それら生産者の取り組みの美味しさがすべて語られているのです。
だから、香りの多くの情報を感じられるようになれば、良質な香りは人の想いを伝えてくれていることに気づくことが出来るようになる。
そういった良質で人の想いが詰まった材料を集めたお菓子を作りたい。
そう思ったことが、今回焼き菓子の販売を始めたきっかけなのです。