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心象風景としての「美味しさ」を考える。
公開日:2023年6月11日更新日:2023月06月11日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
ボクのローストの味づくりのテーマとしては、ずうっと「美しさとは?」と言うテーマで、これまでローストの表現をするために取り組んできた。
しかし、先週の美術館で気づいてしまったことがある。
きっと自分の中で美しさの分析が進んできたことが背景にはあるのだろうと思っている。
それは「美しさだけでは、感情に深く届かない」ことに気づいてしまったのだ。
いや、すでに昨年そこに触れ始めていたから、深層心理としては気づいていたのだろう。
意識として気づいたと言った方が良いだろう。
表現として、表面的な美しさだけでは感情に深く届くことはなく、感情に深く届かせるためには、表面的な美しさではなくて心で感じるための美しさを表現しなければならないことに意識として気づいてしまった。
その思い描く表現のために技法はあるのだと言うことにも気づいている。
ただし、そこに気づけたからと言って、すぐに表現につながるはずもない。
そこは、先日出向いて今も心の中にある東山魁夷さんの絵画から、心で感じるための技法のロジックを考えることしかないのだと思う。
優れた画家が絵画で心象風景を描けるように、味づくりでも心象風景を描くためには、「心で見る」と言う味づくりを考える必要があることにも気づいている。
そう考えた場合に、異なる2つの意味の存在の部分が多いものが「食」であるからこそ、難しさがあり、そして人それぞれの表現があるのだとも考えることができる。
幾つもの2つの異なる存在の意味を、どれだけ深くリンクさせて表現に結びつけるのか?
これまで習得した技法の数々の中から、どの技法を選び、それらを合わせることで思い描く表現とするのか?
そういうことなのかもしれない。