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心象風景。

公開日:2023年5月31日更新日:2023月05月31日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。

心象風景。

*心象風景:意識の中に描かれた具体的な風景。また、意識の中に現れた像や姿を風景に見立てていう。
と検索するとある。

 

東山魁夷美術館に定休日を利用して行ってきた。
ボクにとって美術館は、新たなローストの技法を習得するためのコンテンツ的な要素でもあると考えている。
そして、モノづくりの人には最も大事なことを学べる場所である。

まずは魁夷さんの作品や日記などに記された文献などから、これまでで気づいていたターニングポイントである留学よりも大きな意識の変化になったターニングポイントとなった分岐点の存在とその後の絵に影響する意識に気づくことができた。

意識が明確に変わることは、とても重要なことなのだと思っている。
それこそが、最も重要なことなのだ。
まだまだ稚拙な理解だったとしても、意識が変わっているからこそ、一歩ずつ変わってゆける。
それが10年20年と、その意識の元で取り組んでいくことで、理想に向かって変化していけるからだ。
その大切な転換機の存在が記されていた。
そこで大きく意識が変化したのだ。

そして今回気づいたことは、今までの人生経験の中でも幾度と耳にした「心象風景」という言葉の意味だ。
その言葉は幾度となく耳にはしてはいたが、ボクの心に響いたことはなかった。
しかし、今回の東山魁夷さんの作品を眺めていて、あきらかに今までの人生で感じていたものとはまた異なる心へ訴えかける作品であった。
だから、その作品を見てから、そして今も尚そのことを考えている。

まだ若かった魁夷さんの日展に入選した作品も素晴らしいと感じるが、それは「美しい」という感情で留まるものだった。現物は見てはいないのだが、印刷物なのだがほんと美しいなぁと思えた。
しかし、それに対してより心に響いた作品は70歳前後に描かれた大作で、それは美しさという感情を超えて、その作品を通じて自分の内面と対自させ何かを気づかせてくれるような、そんな心の影を自覚させるための鏡のようなそんな存在に思えたのだった。
その違いは、何十年もの年月を意識をして向き合うことで表現できるようになった領域なのだと思ったのだ。

そしてボクの場合は同時にローストの技法の意識へと思考が向かう。
それは、絵画という作品を描いているのは「色」でしかないからだ。
どのような顔料を使って描いていたとしても、それは表現のために思い描く「色」を選び、そして技法を駆使して表現をしている。
なので、その「色」と「表現」は繋がっている。

そして今回気づいたことは、心象風景とは心で感じる情景なのだということ。
目で見てはいるのだけれど、感じているのは心で感じている情景。
その情景をコーヒーで言い換えると「香り」の情報にあたる。
そう考えた場合に、香りの情報と口の中で感じる情報は別物と考えて意識をするべきものじゃないのか?
という発想が生まれたのだ。
その2つの異なる味づくりをイメージをして融合させる。
そのためには、その2つの味づくりの根底にある設定を見つめ直す必要があるのだと気づいている。
今まで27年間取り組んできた、ローストの成り立ちの理解と、数多ある設定の意味の理解を深めれば出来るはずなのである。

そして大切なことは、根底にある意識である。
そこをしっかりと軸に据えることこそが要なのである。
わかっているようで、まだわかっていない。
そしてそれらは、最終的に言葉で置き換えることで、軸に据えられることも理解をしている。
それが、これからのテーマとなる。

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