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苦手なものの分析
公開日:2023年6月15日更新日:2023月06月15日
カテゴリ:感覚のはなし
好き嫌いがある人というのは、その嫌いな部分が見えているから嫌いな訳である。
テイスティングを学ぶようになって、そう捉えることができるようになった。
多くの人は、好き嫌いがある人が言う「嫌いな部分」は見えていないか、もしくは見えていたとしても許せる範囲なのである。
しかし、嫌いな人は”それ”が許せない範囲だからこそ「嫌い」な訳である。
だから、感覚の感度が高い可能性が高い。
そして、その嫌いな部分は、口の中で感じている情報になるので、”味覚”、”触覚”、”香り(嗅覚)”の情報の「どれか」と言うことになる。
そうした場合に、その嫌いなモノが多いと言う人は、経験上なのだが嗅覚の感度が敏感な可能性がある。
それは多くの人たちは、口の中で感じている感覚(味覚・触覚)寄りなので、多くの人たちには気づかないけれど、その人は気づくのは香りに敏感だからだと考えることができるからだ。
それに、風味(フレーバー)の情報の7~8割は、香りの情報だとも言われているからだ。
ただし、嗅覚の情報を多くキャッチできるからと言って、良質な香りが判断できるわけではないこともテイスティングを学んで気づいたこと。だから、好き嫌いという好みが介入してくる。
人は「好み」で生活している生き物なので、学ばない限り、いや学んでいたとしても「好み」が大きく介入してくる。
それを学ぶことで、どのような状態のものが「良質な香り」であるのかを脳で理解することで、徐々に良質な状態のものが「好み」へと変わってゆく。
すると、良質な状態の風味は美味しく感じ、劣る香りの状態の風味は美味しく感じなくなる。
青臭さが強い野菜だったとしても、その香りの状態が良質だったのなら美味しく感じるのだ。
スペシャルティコーヒーで例えるなら、その定義に記載されている言葉に目を向けなければならない。
「風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。」
爽やかな明るい酸味特性は、その言葉ひとつひとつを分解をして見なくてはならない。
言葉の持つ意味には、幾つもの意味が含まれているので、その言葉の意味を熟慮しなくてはならない。
すると、「爽やかさ」と「明るい酸味」の両者が大事だと述べている。
しかも、それは酸味の性質が重要なのだと述べている。
「明るい酸味」があっても「爽やか」でなかったのなら評価が低くなると述べている。
そして、その情報は、フレーバーではなく酸味の性質の情報なのだと述べている。
なので、学ぶ意味は、酸味の性質の情報とはどういう状態を指しているのか?
また、酸味の中に感じる「明るさ」とはどういう状態を示すものなのか?
また、「爽やかさ」と言う言葉の意味には、どのような状態を示すものが当てはまるのか?
それらが理解できた時に、酸味のDryさは評価が劣ることも理解できるし、爽やかさを感じない重たい酸味は評価が劣ることも理解ができる。
実際のところ、劣る評価のものはその部分だけ劣っている訳ではなく、幾つもの状態が重なって「Dryという状態」になっているし、幾つもの状態が重なって「爽やかさを感じない重たい酸味の状態」になっている。
なので、感じられるようになるためには、「幾つもの状態」というように、風味の情報量を細分化して感じられるようになることが学びとして大切なことなのだ。
フレーバーが豊であったとしても、その「質」が問われている。
そしてそれは、酸味に顕著に登場しやすい性質を持っている。
それが、良質さである。
そして、スペシャルティコーヒーの良質さは、コーヒー生豆から登場するものと、ローストの成り立ちから登場するものと2つある。
それらが結びついて登場しているので、ローストの良質さ(内容)が問われている。
それは、抽出でどうこうできる問題ではないことに気づくと、ローストと向き合わなければならなくなるのだ。