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”こだわり”と”選ぶこと”の大きなちがい。
公開日:2023年6月24日更新日:2023月06月24日
カテゴリ:感覚のはなし
世の中では「こだわり」という言葉がとてもポジティブに使われている。
言葉の意味は時代ごとに変化していくものだと言われるので、世の中の人々がそういう認識なのだとも思えてきている。
ただ、ボクのように「こだわり」という言葉がポジティブには感じ取ることのできない人も少数派だけれどいることは確かなことなのだ。
ボクはその「こだわり」という言葉にとても違和感を感じていて、とても気持ちの悪い印象を持っていた。
「なんだろう。このモヤモヤとした違和感は?」
その違和感が、お店をするようになってきちんと理解ができるようになった。
まず、こだわったから良いものが出来るわけではないということ。
こだわりは、周りが見えなくなってしまっている状態を示している。
こだわりとは、意志を囚われている状態を示している。
なので、こだわりの素材を使った場合では、その素材を使うことが前提で物事が動き始めている状態を示しているので、すべての始まりがその素材を使うこと有りきの商品となっている。
ボクなら、その素材を使うことの本当の意味はどこにあるのか?そこがとても大切なポイントであるのだとボクは思っているからだ。
ボクは良質なものを作る場合で大切なことは、こだわるのではなく、きちんと「選ぶこと」こそが大切なことだと思っている。
なぜ「それを選ぶのか」、そういった理由が明確にあり、だからこそそれを使いたいからだ。
そういった考え方からすると、「選ぶこと」はとても大変なことであることに気づけることだと思っている。
こだわりは、その「選ぶこと」の目線である「それを使うための理由」が別のところに向いていて、フレーバーの理由に何ら関係のないところにその理由が位置づけられているため、それを感じられるようになってしまったボクは「こだわり」を快くは思わないのだろう。
そして、きちんと選ぶためには、常に比較をして決める必要がある。
何を基準として定めるのか。
これがとても大事なことである。
比較する場合に一番良いのは、2種類以上を同時に比較して選ぶことだ。
もしその比較対象するモノがなかったのなら、頭の中に記憶している情報と比較をする。
これが選ぶということである。
そういうことを常にしていると、「何を比較するのか?」という対象を強く意識するようになってくる。
漠然とした味を見ていては、しっかりと比較できないことに気が付くからだ。
アロマやフレグランスの中の何を見て比較するのか?
フレーバーの中から何を見て比較をするのか?
口内の味覚と触覚の情報から何を見て比較をするのか?
そういった意識が生まれてくる。
その脳内の情報と比較することを「テイスティング」と呼ぶ。
すると、「こだわり」と「選ぶこと」では、その背景にある情報量がまるで違うのだ。
世の中、「こだわり」が多くの人の関心を集めるが、本質は「厳選されたもの」なんだと思っている。
そのちがいを判断するものは、感覚である。
特に「嗅覚」で「香り」が重要なのである。