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ボリュームの強さではなく、香りの爽やかさこそが良質さ。
公開日:2023年5月6日更新日:2023月05月06日
カテゴリ:良質さのお話。
4月の後半くらいから、いろんな花の香りが風に乗って漂いはじめる。
浜松だと、柑橘系のみかんの白い花の香りや土手などに咲くノイバラの白い花の香り、穀物系のどんぐりの黄色い花の香りなど。
多くの人が知っている秋に咲く金木犀も代表的な花の香りだろう。
そんな遠くまで香る強い香りでも、咲き始めのフレッシュさの感じる「爽やかな」香りはとても良い香りだと感じる。
しかし、終わりごろに近づくと、「華やか」な香りに重さが混じると良い香りだと認識しなくなってゆく。
スペシャルティコーヒーに携わるようになり、良質さを日頃から学ぶようになってから、「良い香り」の定義が感覚として身についてきてしまっているので、同じ花でも咲くタイミングで、良い香りと嫌に感じる香りに別れるようになってしまった。
それらを分析してみると、やはりフレッシュさに存在する爽やかさが大切なのだと考えることができる。
咲き始めのフレッシュさがある「爽やかさ」な情報は、香りが重たくはなく、とても綺麗な香りの色の情報がある。
咲いてから時間が経過すると、香りが重たく華やかになってきて、香りの色の情報に茶色の濁りが感じられるようになる。
それらの情報を瞬時に脳が分析をして、「良い香りだなあ」とか「いや、これは苦手な香りだ」とかを感情として届けてくれている。
良いものを作るということは、同じ食材だとしても、最終的な完成の段階で、良質な情報の香りが漂うようなものに仕上げることなのだと思っている。
爽やかさの反対に位置するものが華やかさではあるのですが、その意味には「ボリュームを意味する強さを表現する意味」と「香りの質を意味するもの」が同じ言葉で表現されている。
勘違いしてはならないのは、華やかが劣るということではない。
必ずボリュームがあるものには、華やかさがある。
フルーツで言うなら、トロピカルフルーツやストーンフルーツ、ベリーなどは代表的な華やかなフルーツ感だ。
大切なのは、カテゴリのボリュームの華やかさは「強さ」であって、良質さに重要なのは「香りの爽やかさ」が大切なのだと言うことである。
ボクもこれが理解できるようになるまでに、かなりの年数を費やしてしまっている。
香りの持っている情報の「強さ(ボリューム)」と「質」は異なる情報であるので、言葉で聞くと簡単に聞こえるのだが、それを理解するためには、香りの情報を細分化できるようにならない限り、この意味の理解は難しさがある。
だから、世の中で良いものがどんどん作られなくなっていってしまっている。
それは、一般消費者は「強さ」をひたすら求めているから、売れるものを作る商売人は、消費者のニーズに応えようとするから当然な現象だと思っている。
強さと質の良さは、異なる。
この意味は深い。