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選ぶ意味。

公開日:2023年4月30日更新日:2023月04月30日
カテゴリ:ふと思ったこと。

選ぶ意味。

お菓子づくりの場合でフレーバーに粘性や厚みを登場させたい場合には、素材を変更すればよいことになる。
通常のバターから発酵バターに変更したり、バターの銘柄を変更したり、糖類を粘性のあるものに変更したりといろいろな素材を変更して求めるボリュームを導き出す。

コーヒーのローストの場合は、それらすべてをローストの設定の変更で導き出さなければならないので、とても難易度が高くなる。
そして、そこにクオリティを求めることになると、さらにハードルが高くなる。

お菓子づくりの場合では、使用する素材のクオリティをすべての素材を感覚でチェックし変更する必要性がある。

コーヒーの場合では、まずは使用する生豆のクリティを見極めて仕入れをすることがまずは第一条件となるが、その後のローストでもクオリティを登場させるローストを施さなければならないので、そこがコーヒーは難しい。

コーヒーのローストで粘性や甘さを登場させようと考えた場合では、熱量を多く与えなければならないが、熱量を多く与えると透明感が失われ易くなり、フレーバーは濁り易くなってしまうため、安易に熱量を与えればよいという訳にはいかない。
それらの設定は、投入温度の設定を変更したり、ダンパ装置を使うことや排気風量の調整で熱量の与え方は変更することになる。

なので、良質なコーヒーのローストには、素材のポテンシャルが持つフルーツの酸味を背景にしっかりと登場させつつ、ローストの粘性やローストの甘さを添加させてあげることで、明るいフルーツ感を保ちつつも上質なローストの甘さを登場させることができるようになるのである。

そう考えると、お菓子づくりでもオーブンの設定でいろいろとできそうなのだが、残念ながら当店のオーブンはコンベクションオーブンでダンパ装置がついていないので、温度の変更しか設定ができない。

これは、コーヒーの焙煎機でも同じことが言えて、ダンパ装置がはじめから付いていない焙煎機もあるが、それだと豆に与える熱量の設定の変更は、投入温度とガス量の設定のみとなってしまうので、個人的にはダンパ装置と排気風量を変更できるインバータ装置があると緻密な設定でローストができるのでそういう焙煎機を使いたい。

ちなみに近年人気のある海外の焙煎機ではダンパ装置がついていないものも多い。
ダンパ装置がついていない理由は、焙煎機を設計する段階で排気風量を計算されていることと、焙煎機の設置の段階で煙突を立てる際の計算から理想の排気風量が導き出されているために、ダンパ装置が無くても理想の排気風量になるように計算がなされているからだと考えている。
それには焙煎機自体の蓄熱性も関係がしていて、焙煎機本体の熱の伝わり方である熱伝導率と熱源の熱量がコーヒー豆に与える熱伝導率の割合も関係していると考えられる。

焙煎機の蓄熱性が低いものになると、種子由来の植物性のフレーバーが登場しやすい傾向にあるため、ロースト技術でその辺りのフレーバーをコントロールする必要性があるが、蓄熱性が高い焙煎機の場合では種子由来の植物性のフレーバーが登場しづらいため焙煎技術を駆使しなくてもその辺りのフレーバーが抑えられるため人気があるのだと思っている。

最新型の焙煎機になればなるほど、焙煎はシンプルになるように設計されているが、その分味づくりも似通ってしまうため、ボクは面白味が欠けると思っているので、国産の焙煎機を改造して使っている。
機械の進歩で人の技術力は要らなくなるが、その分味わいは平坦になり複雑味は登場しなくなってしまう。

何を求めるのか?
それこそが、道具を選ぶ理由になるのである。

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