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技法の意味。
公開日:2023年4月27日更新日:2023月04月27日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
昨年の夏くらいから、ローストの取り組み方における技法の使い方の考え方が変わった。
その時点では、そういう認識は無かったのですが、先日知った秋野不矩さんの絵画の表現を解説をして頂いたことで、技法の使い方は自分らしく表現するためのアイテムなのだと思えるようになったので、それを整理するために書いている。
それまでの技法の考え方は、「良い情景になるように。」というような考え方だったように覚えている。
いかに「美しい情景を表現するのか?」そのための手段が技法なのだと考えていたように思う。
明るく、透明感があり、艶々した、爽やかなフルーツの酸など、ローストで美しさを表現するための手段が技法なのだと。
けれども昨年の夏に、東山魁夷さんの絵画を見た瞬間に、なぜだか2018年のローストの競技会の予選で提出した、3ロットをローストした内の2番目のローストが「あのローストは静けさを表現できていたんだ!」と東山魁夷さんの絵画から伝わる「静けさ」の表現とローストの「静けさ」の表現が脳裏でつながった。
2018年のその当時のローストを覚えていなかったこともあり、翌日、焙煎記録を見返してみて、唖然としたことを覚えている。
当然ながら4年前のロースト技術は、現時点の技術を比べるとローストの技法の理解がまだまだ進んでいないので稚拙さが残るローストの技法だったのだけれど、核心を捉えていた味づくりだったのだと過去の自分に謝らなければならないと思える出来事だったのだ。
そして、その瞬間からそれぞれの豆によるポテンシャルの違いを探るようになり、そして豆によってローストの技法を使い分けるようになったことを覚えている。
そして、先日の秋野不矩さんの表現のための技法の使い方を知ることで、技法と呼ばれるテクニック的な要素は何を表現したいのか?という表現のためにあることに気づくことになった。
まだまだ朧げながらの解釈なので、これから取り組んでいくことで、更なる技法の理解が進めば、技法を使いこなせるようになることだと思うけれど、技法は想像の数だけ存在することになるので、しばらくの間はローストの懐の深さに悩まされることになりそうだ。