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良いものを、感覚で理解することの大切さ。
公開日:2023年4月14日更新日:2023月04月14日
カテゴリ:良質さのお話。
思い描く以上のものが出来上がってしまうことがある。
それが偶然であれ、必然であれ、想像していたこと以上のものは、やはり感動をする。
新型コロナの影響が大きかったとはいえ、ボクがお菓子を作らなくなってしまった背景には、作ることが楽しくなくなったからだと言ってもいいのだと気づいた。
それは、どんなに足掻いても、限られた範囲内の仕入れでは、良いものが作れるはずもないことに気づいてしまったからなんだと思う。
だから、新型コロナウイルスのせいにして、楽しくなくなってしまったお菓子つくりを辞めてしまったのだ。
以前の当店のお菓子づくりの立ち位置では、そこまで良質な素材を使うことができないと「勝手にそう思い込んでいた」ので、あくまでも売上を上げるためのアイテムのひとつくらいにしか考えていなかったのだと思う。
ただし、モノづくりの人間なので、作ることに関しては手を抜くことはしないし、技術的な面に関しては今日よりも明日を目指してより良いものを作ろうとしていた。
だから、どんどん作ることが「楽しくない」という感情に支配されていってしまったのだと思う。
そんなお菓子づくりだったのだけれど、焼き菓子なら作ろうかな。
そんな気持ちが芽生えた。
もちろん、作るのなら「楽しくなる」ために、すべての食材の仕入れを吟味することを念頭において、作ることが嫌にならないためにも、ボクが思う良質な食材を使うことが条件で、また1から焼き菓子を作ろうと考えたのだった。
そして、吟味された食材で試作を作ってみた。
すると想像以上だった。
お菓子って、こんなにも美味しくなるんだとしみじみとそう感じた。
それは、初めて感じた感情だった。
今まで、スペシャルティコーヒーと向き合うためのテイスティングの学びや、そのための感覚のトレーニングは、何もコーヒーだけのためにあるものではないことに、もう何年も前から気づいていたことだった。
そして今回、心機一転して再び焼き菓子を作ろうとした際に、これまでのテイスティング・スキルがその仕入れに活かされることは理解をしていたことでもあった。
しかし、そのスキルは想像以上に重要な要素であることを実感した。
仕入れにおいて、どのような状態が良質な状態であるのか?
その目線に気づかない限り、良いものは作ることはできない。
「こだわり」目線の仕入れでは、良質な美味しさは作り出せないことに気づかない限り、良いものを作るための仕入れには壁が立ちそびえている。
その透明な壁の存在に気がつけるかどうかが、まずは大切なことであり、それを乗り越えなければならないことに気がつけるかどうかがモノ作りの人間としては重要なのだと思う。
良いものを作り出すための、一番に必要な要素は、良いものとはなんであるのか?を感覚で理解をすることである。