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ひとつの情報に流されないように、いろんな角度から見る。
公開日:2023年3月31日更新日:2023月03月31日
カテゴリ:テイスティング
先日の定休日に、ビオあつみエピスリー浜松店で開催している「フレーバーの景色を見るための講座」を開催した。
その受講者さんの中に、ほぼ毎月その講座に参加されている受講者Yさんがおられます。
最初の頃は、ボクの言う「香りの色の情報」も脳裏で見えてはいなかったのですが、ここ最近になって「香りの色の情報」を認識できるようになってきていることがボクにも分かっている。
脳裏で色彩を感じられるようになることで、いろんなことが理解できるようになるので、人生が楽しくなってくる。
しかし、良質さを理解するためには、次のステップへの壁が立ちはだかっている。
スペシャルティコーヒーの定義の文面にも記載がされておりますが、
「際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな”明るい酸味特性があり”、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。」
と明記されている。
この文面だけを読むと「明るい酸味」が良質さを示す手がかりであることは理解ができる。
脳裏で感じられる「香りの色の情報」が、「明るいこと」が手がかりであることは間違いない。
しかし、良質さの難しさは「明るさ」に惑わされてはいけないことに気づけるかどうか。
まずは、明るい酸味があること、その次にその酸味が「艶やか」であるかどうかが求められるのです。
その「艶やかさ」は、質感ともリンクしており透明感ともリンクをしている。
質感はマウスフィールの項目となり、透明感はクリーンカップの項目である。
実際、ほぼ毎月その講座に参加しているYさんは、香りの色の情報の「明るい酸味」を判断に明るさを感じられるコーヒーが一番良いと判断されましたが、その隣にあった「艶やかで、しっとりとした良質さ」を見落としてしまっていた。
明るさだけで判断してはいけないのです。
そして、人は好みに流されてしまう生き物なのです。
いくら良質で素晴らしいものが隣にあったとしても、自分自身で見て感じている情報がそのすべてなのです。
だから、いくら良質で素晴らしいと評価されるものを飲んだり食べたりしても、それが好みに当てはまらなかったとしたなら、感情に届かないものなのです。
なので、学ぶことでいろんな角度から感じられるようになると、好みが次第と変わり、いつの間にか良質なものが好みへと変わってきます。
すると無条件に良質なものが好みとなり、そして良質なものは滅多に存在しない素晴らしいものであることにも気づけるようになるため、感動するくらい感情に届くようになります。
何度も言いますが、使っている感覚は「嗅覚」、「味覚」、「触覚」の3つ。
それぞれの感覚で偏ることのないように、透明感、質感の良さ、風味の良さ、酸味の良さ、甘さの良さ、それぞれの余韻という情報を感じられるようになることで、徐々に良質さという美味しさを自分の感覚で感じられるようになるのです。
これは、学ばない限り感じ取れるようにはならない美味しさなのです。