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失敗から可能性を見る。
公開日:2023年3月26日更新日:2023月03月29日
カテゴリ:感覚のはなし
今週に入り花粉症か風邪をひいてしまった。
一応、発熱外来を受診して抗体検査で新型コロナでもインフルエンザでもなかったので、たぶん花粉症か風邪のどちらかでしょうと言う診断でした。
熱はほとんど無いのですが、やはり頭がぼおっとしてしまうので、案の定焙煎もいつもは絶対にしないような失敗をしてしまったりして、散々な日々なのですが、いつも言っているように「失敗は成功のもと」でした。
その失敗してしまったローストをカッピングしてみると、「へぇ、こんなふうになるんだ。」と、とても可能性を感じた。
甘さを登場させようと考えた場合に、甘さはローストにより添加されるものなので、どうしてもローストの熱量が入ることで、質感や酸味、そして余韻にローストの負の影響が及ぼされることが大きくなってしまう。
そのため、甘さを登場させようとシンプルに考えた場合では、酸味は登場しづらくなってしまう。
一つの設定の軸の上に成り立つ、「酸味 ⇄ 甘さ」というコントロールになってしまうからだ。
しかし、良質な明るい酸味を登場させつつも、良質な甘さの粘性とボリュームを登場させられたなら、それは表現の幅が広がることを意味している。
すべての豆でその技法が使えることでは無いにせよ、甘さと粘性とボリュームを調節することができるようになる可能性がある。
しかも、良質な質感の良い酸味の表現は残したままである。
失敗は、論理的な思考で考えてもなかなかたどり着けない境地を一瞬にしてたどり着くことのできる魔法でもある。
失敗を失敗だとするのか、はたまた成功のための一歩だと考えるのかは、受け取り方次第だと言える。
ここ数年は、失敗から教えられた可能性を試し導き出された手法がほとんどである。