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混ぜ、合わせる。
公開日:2023年3月16日更新日:2023月03月16日
カテゴリ:感覚のはなし
混ざると混ぜるは、意味が異なる。
合わさると合わせるも、その意味は異なる。
コーヒーの味づくりにおいて、ローストの味づくりは混ざってしまう要素を意図的に混ぜる目線が職人的な味づくりである。
そして、意図的に狙って合わさるようにするのが職人の技術であり、それは結果からでしか判断できないものでもある。
なので、混ぜ合わせることはとても難易度が高い技術となる。
「混ぜる」という意志を持って味づくりをするが、合わさらないことがある。
そこにローストの技術的な難しさがある。
検証を繰り返して、意図的に混ぜ合わせることができるようになることが職人としての技であり、それができるようになるためには経験値が必要不可欠となる。
そして、経験値と思考が繋がってくると、狙って味づくりができるようになってくる。
この話しは、昨日の話しと繋がっていることに気づくことだと思う。
そしてこれも経験値と共に育つのが「見る景色」である。
何を、混ぜ合わせたいのか?
という目線がとても重要なことなのだけれど、そこに気づくのにも経験と時間が必要になる。
味覚で見ていたら味覚的な要素を混ぜ合わせることになるが、風味を混ぜ合わせたいのなら風味的な要素を混ぜ合わせたいことになる。
そして常々言っていることなのですが、口の中で感じている美味しさを分解すると「味覚」と「嗅覚」と「触覚」で美味しさを感じている。
だとするならば、その3つの感覚で見ている景色をすべて混ぜ合わせることが到達点であることに気づくことだと思う。
そして、良質な味づくりである所以は非凡さなので、その混じり合い方に非凡さを鑑みることができるものが良質な味づくりなのだと考えることができる。
だとすると、そこに透明感(クリーンカップ)や酸味の良質さである(明るさ、艶やかさ、しっとりさ)などを合わせることが良質なローストであると考えられる。
良質なコーヒー豆を仕入れられれば液体が良質になるわけではない。
良質な仕入れと、良質なローストは2つの柱となるので、それぞれを混ぜ合わせなくてならないからだ。
「混ぜ、合わせる。」
は言葉にしてしまうと、たったの6文字になるが、その背景に存在している情報を理解することは、とても難しさがある。
だからこそ、職人は己の人生をかけて、自分の思い描く表現を成し遂げるために毎日向き合うしかないことを知っている。