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公開日:2023年3月15日更新日:2023月03月15日
カテゴリ:ふと思ったこと。
昨日、四川料理の陳建一さんの訃報が報道されていた。
テレビのニュース番組ではまだ若かりし頃の徹子の部屋に出演された時の映像が映されていて、「料理はタイミング」だと語っていた。
食材を調理する時の食材を入れるタイミングが全てで、そのタイミングを知ることが大切なのだと語っていた。
これは料理だけでなくて、ケーキ作りでも、コーヒーのローストでもすべて同じで、そのタイミングで味づくりの全てが決まるのだと言ってもいい。
そして、そのタイミングで素材が活かされたり、素材が活かされなかったりする。
外食をするときに、ほとんどの外食産業は「B級グルメ」に当てはまるのだとボクは思っている。
一般流通している食材を使って調理をし、一般的な価格帯で提供しているものは「B級グルメ」なんだと思っている。
そうした場合に、特にお肉であったりお魚であったりの「臭み」が当然あるものがB級の素材なので、その「臭み」を登場させないようにすることが、料理人の腕の見せ所でもあるのだと思ってもいる。
しかし、まずそのような調理ができる料理人は、まずほとんどいない。
それはなぜか?
それは、「臭み」を感覚で感じられている人がほとんどいないからである。
「臭み」を感じられていないから、その「臭み」を登場させないようなタイミングを見つけられないし、「臭み」自体が理解できていない。
なぜ、こんなことを言えるのかと説明すると、以前のボクもそうだったから言えるのである。
あからさまに鮮度が悪い「臭い」は誰でも分かるけれど、鮮度が良くても食材が持っている「臭み」を理解できている人の人口の割合はとても低いのだ。
だからこそ、技術を向上させるためには、まずは自分の感覚(嗅覚)がどのレベルであるものなのかを知ることから始めなければならない。
自分の感覚で劣る香り(ダメージ)と良い香りの識別が本当にできるようになることがスタート地点なのである。
ボクは、そのスタート地点に立てるようになったのも感覚を磨くことを諦めなかったからこそ、そこに立つことができるようになったのだと思っている。
そして良い味づくりとは、まずは素材の持つ劣る部分を登場させないように、素材の個性を導き出すことなのだと思っている。
それらは、すべてタイミングなのである。
今現在の経験を重ねた陳建一さんが料理を語るのだとしたなら、何を語ったのかな?
そんなことを訃報のニュースを見ながら思っていました。