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職人という美味しさ。
公開日:2023年3月3日更新日:2023月03月03日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
30代後半くらいまでは職人という響きがあまり好きではなくて、職人よりも芸術家になりたいと思っていた。
けれど歳を重ねてゆくうちに芸術家よりも職人を目指すようになった。
職人は毎日、そして毎回、商品として消費者に売るものを作り続けなくてはいけない。
失敗をしないように、そしてその繰り返しの中でより良いものを作り出していかなくてはならない。
芸術家は、幾つも製作する中で世に出すものを選ぶことができるけれど、職人はちがう。
商品として売ることを前提の中で日々の取り組みがあり、そしてより良いものを目指す。
より良いものを作ろうとする志しを持って仕事と向き合いながら日々の生活の中に仕事が混在するようになる。
仕事と生活の垣根が無くなり、すべてが良いものを作ろうとするための時間を過ごすことを目的とするようになる。
なので「良いものを作りたい」という、そういうシンプルな思考が根底にある人を指しているように思っている。
なので、コーヒー生豆生産者も職人の志しを持っている人が作っている生豆を購入したいし、その志しをボクも持ちながらより良いローストの表現を目指したい。
そういったより良いものを作りたいという思いは、フレーバーの中にも登場するようになる。
なので、それを読み取れるようになるために感覚を育成することも職人に必要な要素となるので、感覚を意識し日々学ばなければならない。
若い人たちには「バリスタ」になりたいという人が増えているみたいなのですが、コーヒーをしっかりと学ぶとロースト(焙煎)は避けては通れない道だと気づく。
ローストに携わるようになると、生豆の仕入れの重要性に気づき、その個性を見極め、そしてローストにより表現をする技術的な難しさに気づく、そしてそれを最終的に液体にするために抽出に取り組むことになる。
抽出しているだけでは、コーヒーは見えてこない。
それがロジックである。