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甘さと酸味は相互関係にある?
公開日:2023年1月28日更新日:2023月01月28日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
これまでのローストでは、「甘さや粘性と酸味は相互関係にある」ものだと考えていた。
それは紛れもなく、そのとおりのこと。
だからこそ、これまでのローストでは甘さの伴う粘性を登場させるためには、酸味が目減りすることは当然のことだと思っていたし、それが世の中の摂理だと思ってもいた。
もちろん、それはそのとおりのことだと思っている。
しかし、フルーツでもその摂理に反するものと出会うことがある。
そいうものが素晴らしいもので、そういう世の中の摂理とは相反しているものが良質なものでもある。
今回気づいたことは、「甘さや粘性と酸味は相互関係にある」ことはあきらかなことなのだけれど、それは一つの設定における法則のこと。
では2つ以上の設定が融合している状態ならば、その相互関係は成り立たなくなる。
そう考えた場合に、当店の焙煎機のローストではダンパ装置とインバータ装置の2つの装置を使うローストをしている。
そう。
ひとつの装置だけでは成り立たないローストが、2つの装置があることで相反するものを「混じり合わせる」ことが出来るようになる。
ただしそのためには、ダンパ装置のローストの成り立ちと、インバータ装置のローストの成り立ちという2つの異なるローストの成り立ちを見つけていかなくてはならないので、ボクの場合ではダンパ装置で27年間、インバータ装置を装着してから7年と6ヶ月間を取り組むことで見えてきたローストが相反するという味づくりの融合だと言える。
ただし、その「混じり合わせる」には2つの設定のバランスが求められるので、実際の味づくりとしてはとても難しさがある。
受け取る側も、その「混じり合わさる」という状態が感覚によって受け取ることができれば、その非凡さを感覚で感じることができるので、感動することができるようにもなる。
どれだけの情報を受け取れるかによっても、美味しさの価値観は人によって変わるもの。
だからこそ良質さを感じとることは難しく、だからこそ良質さを表現することも難しい。