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焙煎機を扱いこなすために。
公開日:2022年12月3日更新日:2022月12月03日
カテゴリ:お店のこと。

当店の焙煎機は国産のFuji-5kg釜(改)を使用している。
コーヒー焙煎を長年続けている人たちは、この焙煎機を使っていても乗り換える焙煎士が多い。
それはなぜか?
答えは簡単、それは「扱いづらい」から。
焙煎を論理的に考えるとしたなら、なぜこの焙煎機は扱いづらいのか?
それは「ローストによるフレーバーが登場しやすいから」だと考えられるようになった。
外国製の焙煎機と違って蓄熱性が低いがために、焙煎機内に流れる気体の熱量の影響を受けやすいので、ロースト由来のフレーバーが登場しやすくなるのだと考えている。
そして、ロースト由来のフレーバーは甘さに宿るものだけではないので、その理解が難しく、そしてそのロースト由来のフレーバーを「ダメージ」として登場しないように良質なフレーバーとして登場させるために、ロースト技術を身に付けなくてはならない。
その技術は外国製の蓄熱性の豊な焙煎機では学べないことも経験から知っている。
なので、この焙煎機を扱いこなすためには、この焙煎機でローストの成り立ちの論理を構築していくしか道は無いのだと思っている。
経験値が増え、ローストのカッピング・スキルが向上していくことで、徐々にロースト技術も向上していくが、その結果として思い描くようなローストができるようになってくる。
もしかしたなら「曜変天目」という茶碗も、扱いづらい釜を利用していたからこそ成り立つ表現だったのかもしれない。
それくらい「釜(焙煎機)」によって表情を変えるものなのだ。
扱いやすいは、扱いづらいよりも簡単な分だけ複雑性に欠けるのだ。
だからこそ、この扱いづらい焙煎機で思い描くようなローストをしていきたい。
可能性はまだまだ隠れているのだと思っているから。