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表現するということ。
公開日:2022年11月17日更新日:2022月11月17日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
ボクは音楽を演奏することは、学校の音楽の時間しかしたことがないので、頭の中での知識と想像のお話しになってしまいますが、「表現」をするためには、まずは譜面通りに演奏ができることが最低限に必要になるものだと理解をしている。
譜面通りに弾けない人が「表現」をすることはできないのだと。
コーヒーのローストでも同じで、まずは季節の移り変わりに合わせて味のバランスを整えられることが、味づくりの基本であり、まだそこの段階には表現は含まれていないのだと思っている。
表現というものは、酸味を登場させるだとか、甘さを登場させるだとか、そういうチープなものではないのだと思っている。
作り手が思い描いている味づくりの骨格に、豆の個性に合わせた広がり方や、透明感のレベルを保ちながら、どのように余韻まで、そして温度変化での味づくりまでを複合的にオリジナリティを含ませながら、その味の成り立ちを素材に寄り添いながら移り変わってゆく様を脳裏に映し出すことを言うのだと現時点では思っている。
大切なことは、脳裏でそれらを感じられるかどうかと言うことなのだと。
ここまで理解できるようになるまでに、26年もの歳月がかかってしまった。
今思うと、ダルシーさんのチョコレートを食べて、あの美味しさをボクはコーヒーで表現したいと思ったことが、「表現をする」ということの始まりだったように思っている。
そこには圧倒的な凄さがある。
ボクもそういった圧倒的なまでの美味しさを表現したいのだと今でも願って取り組んでいる。