読み物。
Blog
油に溶ける香りの成分。
公開日:2021年5月26日更新日:2021月05月26日
カテゴリ:抽出のはなし。, 良質さのお話。
植物や動物に含まれている香りの成分は大きく2つに分かれます。
それは、水に溶ける成分と水に溶けない成分です。
水に溶けない成分の多くは、油には溶けるので、言い換えると「水に溶けない成分は、油に溶ける成分である」とも言えます。
香りの成分の多くが、油に溶ける成分で、植物から採取した香りの成分の抽出液を「精油」とか「エッセンシャル・オイル」とか呼ばれています。「油」とか「オイル」と呼ばれていますが、決して油ではありません。
これらのことから、コーヒーの抽出液の中の油脂成分の中に香りの成分が多く溶け込んでいるということが伺えます。
ですので、科学的な検知から考えると、コーヒーの油脂成分は抽出した方が、いろんなフレーバーが楽しめるということが理解できます。
しかし、現在日本でコーヒーをご家庭で召し上がる場合にほとんどの消費者が使用している抽出法が「ペーパードリップ」なのです。
ペーパーフィルターで抽出をすると、コーヒーの抽出液の表面には「油脂」がほとんど浮かんでおりません。ペーパーで油脂成分が吸い取られてしまっているためです。
ですが、これには理由があります。
一般流通しているコーヒー豆の場合ですと、人が不快に感じる香り成分も登場していますので、それまで抽出をしてしまうと「美味しく感じない」ために、一般流通しているコーヒーの場合ですと、ペーパーフィルターで不快に感じる香り成分は吸い取った方が美味しくなるからだと考えることができます。
しかし、当店で販売するスペシャルティコーヒーは違います。
良質なスペシャルティコーヒーの場合ですと、雑味や臭みが素材の香りとして登場しないからこそ、価格が高くなります。
ですので、スペシャルティコーヒーの場合には、抽出液に油脂成分まで抽出させた方がより美味しくなるという訳なのです。