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フレーバー目線?それとも質感目線?
公開日:2022年11月4日更新日:2022月11月04日
カテゴリ:感覚のはなし
数ヶ月前くらいから当店のコーヒー豆を定期的に購入してくれるお客さんがいる。
そのお客さんは、仕事でうなぎ屋さんをしているらしく、大雨の後くらいから水道のニオイが気になると言っていた。
そのお客さんに前回、コーヒーミルの違いを知るために粉で1袋だけ購入していただいたことと、当店の推奨するサントリーさんのミネラルウォーターのことを話していた。
そして、今回コーヒー豆を購入されるために来店された時に、コーヒーミルの味の違いと、ミネラルウォーターの味の違いを聞いてみた。
すると、よく分からないと言う。
ボクは水道水のニオイの臭さはそれほど分かっていないのに、そのお客さんは気がついていて、コーヒーミルとミネラルウォーターの違いはボクは分かるのに、そのお客さんは分からないと言う。
その違いはどこから登場しているのか?わかりますでしょうか?
その違いは、使っている感覚の違いによるもの。
そのお客さんは、うなぎが病気になったりすると餌を与えないで「抗生物質」を与えるため、水道水のカビ臭いような薬品臭いような香りには敏感なのだと言っていた。なので、フレーバーとしてのニオイ(香り)の違いは分かっているけれど、質感は見えていない。
ボクは元々、嗅覚が鈍い人なので香りの情報も繊細になると見えていないのですが、質感の良質さの情報で、見えていない香りの情報を補っているのだと分析をしている。
なので、ボクの場合は質感をメインに捉えていることになる。
そう。
人によって、口の中で広がる風味の情報の中から、感じ取れている部分が人によって異なるために、人それぞれで感じ方が異なるのだと理解をしています。
なので、今回のように感じ取れている情報と、感じ取れていない情報とに分かれてしまう。
まずは、知識として風味の持つ情報量の全体像を学び、そして自分が感じ取れている部分と感じ取れていない部分とを理解していくことが大切なのだと考えている。
そして、得意な分野と不得意な分野を認識し、そして得意な分野はより伸ばし、不得意な分野は人並みに感じ取れるようになるようにトレーニングをしていくことで、少しでも感じ取れるようにしていく。
まずは、自分が感じ取れていないだけで、感じ取れている人たちがいることを理解すること。
すると、それぞれの感覚に対しての「美味しさ」があることに気がつくことができる。
そして、さらにその理解が深まれば、今は理解できていないけれど、新しくその感覚での感じ取り方を理解できることで、今までの人生の中では感じ取ることはなかった「美味しさ」を感じられるようになる可能性があるということを理解することがとても大切なのです。
感覚を成長させると言うことは、新しい感覚で美味しさをキャッチすることができるようになると言うこと。
そこには、とても素晴らしい美味しさの世界がある。
自分の感覚がすべてだと考えている人には、その未知の美味しさには辿り着くことができないが、そこの存在が想像できる人たちは、その未知の美味しさを手に入れるための取り組みを学んでいくことで、その未知なる美味しさを感じられるようになる可能性があると言うことなのです。
ちなみに、ほとんどの人たちは両者とも感じ取れていない人がほとんどです。
なので、フレーバーも質感も感じ取れていない。
以前のボクもその仲間だったので、よくわかります。
もうちょっと詳しく解説をすると、強い香りと粘性は見えています。
ですが、繊細なフレーバーや繊細な質感までは感じ取れていない。
なので、良質さが登場していたとしても、感じ取れないのでスルーをしてしまうのです。
良質さを感じ取ることは、意外と難易度が高いことなのだと言うこと。
そして、それらを感じ取れるようになる感覚が身につくと、良質さは感動をする美味しさであることを知ることになる。