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粉での販売を始めることの理由。
公開日:2022年9月25日更新日:2022月09月25日
カテゴリ:お店のこと。
10月から「粉での販売」を始めるために、「脱気ガス充填機」を準備している。
機械自体は設置されたのですが、まだ肝心の「窒素ガスボンベ」の設置が遅れていて、どうやら「粉での販売」が始まるのは10月の中旬以降になりそうな感じ。
では、なんで今まで頑なに「粉での販売」をしてこなかったのに、今になってそれを始めようとしているのか?
今まで拒んできた1番の理由は、粉にすることで「風味が飛んでしまう」から。という理由だった。
では、なんで今このタイミングで「粉での販売」を始めようとしているのか?
それは、「推奨するミル」で、しかも「キチンと粒度の調整がなされているミルで挽いた粉末」が、良質なコーヒーを抽出するためには、とても重要な要素なのだと言うことが理解できてきたことが、大きな理由の一つになるのですが、それは繋がっている。
では、何に繋がっているというのか。
お店で出来うる限りの良質さという美味しさを提供できたとしても、同じコーヒー豆を購入し自宅でそれが再現できなかったとしたなら、それではボクは意味がないのだと思っている。
でも、世の中のコーヒーショップでは、それが当たり前の現象なのです。
だから、お店の味を再現したいと思う消費者は抽出を学び、自宅でもプロが淹れるようなコーヒーを再現するために抽出技術を学ぶのです。
しかし、そこのハードルは高く、なかなかプロが淹れるようなコーヒーを再現することができないでいる。
そして、抽出を学んでいない人には、当然ながらご自宅でお店の味の再現は不可能になる。
ボクは、どうにかして香茶屋のコーヒーをご自宅でも、お店で召し上がるコーヒーと同じレベルのものを飲めるようにしたい。
そう考えて20年間取り組んできました。
そして、いろんな抽出での論理が理解できてくると同時に、抽出で美味しいコーヒーを再現するためには、ローストと抽出法には密接な繋がりがあることに気づき、再現性の高い抽出法を選ぶことを前提にした場合には、ロースト技術がそこに大きく関わりがあることが理解できてきた。
要は、ローストで良質なバランスが取れていて、ローストにより味づくりがキチンとなされていたとしたなら、抽出はとてもシンプルになる。
ロースト技術とは、最終的に抽出技術の必要性を取り除く技術でもあることに気づく。
バリスタという職業は、抽出でローストの不出来さを整え、最終的にカップの中の液体を美味しく提供する仕事をする人のこと。
そして、ロースター(焙煎士)の究極の役割とは、ローストの不出来さを無くし、常に抽出でローストの味づくりを整えなくても良いように味づくりをすることなのだと考えている。
そのようなローストの不出来さを無くし、元々の素材にもダメージ(劣る部分)が無いスペシャルティコーヒーを使用しているのであれば、焙煎士の究極の仕事としては、バリスタが要らなくなる。
そう。
ロースト技術の最終形とは、ご自宅で簡単でシンプルな抽出で、お店の味が再現できるようになり、抽出技術は必要とされなくなるのだと考えれるようになった。
その抽出法が、紅茶を淹れる時のように、コーヒーの粉末を熱湯で4分間浸けておくだけという、とてもシンプルな浸漬式抽出法なのです。
そして、その抽出液を浸漬式専用のオリジナル不織布フィルターで濾過するだけ。
それだけで、香茶屋のお店の味をご自宅で再現できるようになる。
香茶屋の技術力は、ようやくそこまでたどり着くことができるローストの技術を26年かかって身につけることが出来た。
だからこそ、推奨するミルで、しかも粒度の調整がなされているミルで挽いたという「粉での販売」を開始することができれば、ご自宅で香茶屋の喫茶コーナーで飲んだコーヒーと同じ美味しさをご自宅でも楽しむことができるようになる。
シンプルな浸漬式の抽出法は、良いも悪いも全てを抽出してしまう抽出法だからこそ、ローストの技術力で劣る部分を登場させないように豆の持つ良いところだけを登場させるローストを施すことができることが前提で、熱湯での100°Cという高温での抽出が成り立つ技術力となる。
そして、劣る部分が無いので、抽出で劣る部分を整えるという抽出の技術を使わなくても良くなる。
ゆえに、抽出はシンプルになり、ご自宅でもお店の味を再現することが可能になる。
それが今、当店で「粉での販売」を始める理由なのです。
ただし、粉にすることで風味が落ちやすくなるので、劣化スピードを緩やかにするための取り組みが「窒素ガス充填包装」なのです。