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表現。

公開日:2022年9月7日更新日:2022月09月07日
カテゴリ:感覚のはなし, 焙煎の味づくりのこと。

表現。

定休日を利用して、岐阜の「東山魁夷心の旅路館」に行ってきました。
東山魁夷さんは、学生の頃に岐阜の御嶽山にキャンプをしながら登ったことが、その後の大自然を描いていくことに繋がっていきます。そういった背景から所蔵のリトグラフや木版画などを山口村に寄贈されたことから、この美術館が存在している理由になるそうです。

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  東山魁夷
美術学校へ入って最初の夏休みに友人と共に、木曽川沿いに八日間のテント旅行をしながら、御嶽に登ったのが、私を山国へ結びつける第一歩でした。
この旅の途中、山口村(現在の中津川市山口)の賤母しずもの山林で大夕立に遇い、麻生あそうの村はずれの農家に駆け込んで、一夜の宿を求めました。そこで私は思いがけないほどの温かいもてなしを受けたのです。
この旅で、それ迄に知らなかった木曽の人たちの素朴な生活と、山岳をめぐる雄大な自然に心を打たれ、やがて風景画家への道を歩む決意をしました。
それは画家を志した頃の緊張した気持、一つ一つ積み重ねてゆく意志的な努力と言ったもの、その象徴が北国の姿だったのです。このことが少年期を過ぎ青年になったばかりの私には、大きな人生の開眼であり自然の発見でもありました。
その後は何かに取り憑かれたように信州各地の山野や湖、そして高原へと旅を重ねて、四季折々の風景を描き続けてきました。
この緑濃い賤母の森蔭に「心の旅路館」と名付けた私の版画による展示館が設立されたのも、木曽路と私を結ぶ縁えにしの糸がだんだん大きく太くなった結果かもしれません。この地を過ぎる旅の人達にとって、暫しの安らぎと憩いの場になれば、誠に幸いに思います。
(1995年8月)
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展示されている、リトグラフや木版画を見て、改めてその美しさと、その描写の「空気感」の存在に佇んでしまいます。
そして、コーヒーのローストの成り立ちと日本画のその美しさから醸し出す「空気感」の成り立ちはリンクをしていることに気づかされるのです。

そして、特にリトグラフ(版画)は、何回も何回も色を重ねながら一枚の絵として完成されるもの。
吉田博さんの時もそうだったけれど、今回の東山魁夷さんの版画にも触れて「表現」という意味をより深く知るきっかけになりました。
表現は、技法とも繋がっているけれど、目指すべく「空気感」のために、その「技法」と、そして「装置の取り扱い方」が存在している。
この意味を深く理解しなければ、思い描くとおりの味づくりはできないことにも気づいた。

表現とは、思い描いたモノを描写をすること。
そして、その描写には心情も加えられるために、その描写の美しさには「空気感」を表現しなければならなくなる。
その「空気感」を描写するために、「技法」はあり、そしてそれには「色彩」が深く関係している。
だからこそ、日本画や版画とローストの成り立ちはリンクをしていて、学べることがとてつもなく大きい。

ただし、これらのことに気づけるようになったのも、嗅覚が成長したことから。
なので、思い描くとおりの表現をしたかったなら、嗅覚を成長させることがスタートだとも言えるのだと今なら思う。

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