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2つの透明感。

公開日:2022年9月2日更新日:2022月09月02日
カテゴリ:テイスティング, 論理的な考え方

2つの透明感。

ことばの意味というものは複数の意味が存在する。
それは同じ「ことば」なのですが、現象が異なるために、幾つかの現象の異なる意味合いが存在するのだと考えている。
ただ、現象が異なってはいるが、「同じことば」なので、その意味は繋がっている。

コーヒーの良質さの一つを表現する「透明感」にも、大きく分けて2つの意味が存在していると考えている。
ひとつは、漢字で書いたそのまんま「透けて」そして「明るい」という意味の透明感。
もう一つは、先日認識した東山魁夷さんの日本画でも確認ができる「空気感が持つ透明感」という意味。

ひとつ目の「透ける」「明るい」は、光の差し込む方角が理解できれば、何かしらが「透ける」ことで、その何かしらがその光を取り入れるために「明るく」輝く様を感じることができるという「透明感」。
上の画像は、その「透けて明るい」を表現したものになる。

そして、2つ目の「空気感が持つ透明感」は、少し難しくて、「空気が澄んでいることで感じる透明感」というのだろうか、この場合は、「光が差し込んで透ける」という意味合いではなく、空気感が「澄んでいる」ために感じることができる透明感。

両者ともに「透明感」を表しているのですが、感じ方でのその印象は異なる。
そして、個人的に良質さに対して大切だと考えている透明感は「空気感が持つ透明感」を表現したいと思っている。
これを表現したくて、いろいろな技法を試したり、今まで試行錯誤して歩んできたのだと思っている。

ひとつ目の「透けて明るい」透明感は、当店の焙煎機の場合は、なかなかその表現が難しい。
それは、ローストの甘さやローストのフレーバー(茶色)が登場しやすいがために、茶色が「透けて明るく」なりづらいから。
だから、近年ではローストの茶色が登場しづらく、明るく透けるローストのフレーバーが登場しやすい焙煎機に人気があるのは、そういった背景があることから理解ができるだろう。

しかし、ボクが目指す「空気感が持つ透明感」の再現は、今までの経験上ダンパと呼ばれる装置のコントロールで導き出すもの。
実は、2018年の焙煎の競技会の予選を通過した時のローストが、今考えれば「空気感が持つ透明感」を表現したもの。
ただし、透けて明るい透明感は表現できてはいないので、茶色のローストのフレーバーの「空気感に透明感があった」のだと認識をしている。

そしてその世界観に「透けて明るい」という表現も重ねられるのならば、異次元の味づくりとなるのだと考えているが、そこは2つの透明感が交わる世界観なので、その表現はとても難しい。
ただし、とても難しいことだからこそ、そこを目標にして取り組む姿勢が大切なのだと考えている。

いつの日にか、論理的に、そして感覚を用いてそれを再現できるような焙煎技術を身につけたいと考えている。
目指す表現とは、なかなか成し遂げることが難しいからこそ目指す意味があるのだと。

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