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感覚には、レベルがある。
公開日:2022年6月8日更新日:2022月06月08日
カテゴリ:感覚のはなし
よくマンガで、主人公がレベルUPして強くなっていく描写がある。
感覚的には、よく似ていて、口の中で広がるフレーバーの見え方にはレベルがあって、それを捉えることができるようになると、いきなり「良質さの美味しさ」の一端が見え始めるようになる。
そう。
マンガの主人公がレベUPしていくあのワクワク感と同じようなことが、自分の感覚がレベルUPしていくことで味わえるようになる。
ボクの場合は、感覚が鈍かったこともあり、今までに色々とレベルUPしてきた。
まずは、コーヒー用語で言う「マウスフィール」のボディ感を感じられるようになった時。
ボディ感には、広がりや厚みに、香りの情報の「密度」が絡んだ感覚。
それが理解できた瞬間から、俗に言う「フル」ボディだとか「ミドル」ボディだとかいう、厚みとその質が理解できてきた。
これが理解できるようになると、乳製品のエサの香りの理解が深まってきた。
草だけを与えたエサの場合は、「草の香り」と「乳脂がサラッと軽い密度のキメの細かさの印象」が得られるのに対して、穀物のエサを与えた場合には、「穀物系の香り」と「乳脂が重たく」なり、ほとんどの場合は安い輸入された穀物のエサのため「臭みと乳脂の質感の悪さが登場する」ようになる。
ただし、同じ穀物のエサの場合でも、それが良質なエサの場合は、「臭みや乳脂の悪さは登場しない」ので、穀物のエサが悪いわけではありません。質の悪いエサだと、臭みや乳脂の質感の悪さが登場するということ。
それらの違いをくっきりと感じることができるようになります。
その次くらいに、「明るい」と言う意味の香りの色の情報。
コーヒーの定義に「爽やかで明るい酸味特性があること」と表記されておりますが、その「明るい」は香りの色の情報の「明るい色」だと言うことが理解できた瞬間でした。
良質な明るさには、明るい光の色と透明感が絡んでいる。
レベルUPには、まずは「明るさ」を感じられること。
その次のレベルUPには、光の色を示す「透明感」が理解できること。
明るさが理解できると、その反対に位置する「香りの濁り」や「香りのくすみ」が理解できるようになることで、ローストのダメージの理解が進み、フルーツの甘さのフレッシュさが無くなってくると色の明るさが鈍くなってくることに気づけるようになります。
そして、同じ定義の「爽やかさ」の理解。
「明るい酸味特性」だけでは、実は良質さを見抜けない。
明るくてもドライな酸味は評価が低く、爽やかな酸味があって初めて良質なフルーツ感を示すことができるからです。
なので、爽やかさの意味が理解できた瞬間のレベルUP。
これらが感じられるようになると、フレッシュさこそが良質さなので、酸味に爽やかさが感じられるものが、素晴らしいものだと理解できるようになってくる。
そして、それに付随している「質感の良さ」。
この「質感の良さ」は、酸味とつながっている質感で、甘さとも繋がっている質感でもある。
この理解は、ごく最近である。
こられが理解できるようになると、酸味のドライさをより感じられるようになり、その反対に位置する爽やかな酸味の理解が一段と進むことになる。
質感の素晴らしさは、酸味とも繋がり、甘さとも繋がりがある。
これらが感じられるようになると、ドライな質感の不快さを覚え、その反対の良質な爽やかな質感の美味しさをより理解できるようになる。
「爽やかな明るい酸味特性」の本当に意味が理解できるまでに、何年もかかりましたが、今ではその定義の意味が理解できてきています。
短い言葉なのですが、その意味はとても深く、そして尊い。
なので、スペシャルティコーヒーの定義にこの言葉を引用した人はしっかりと理解して書いていることが感じ取れる。
そして、以前のボクと同じように、これをきちんと理解できている人は少ない。
ボクが評価しそして表現したいコーヒーも、フレーバーの豊さではなくて「爽やかな明るい酸味特性」の方。
こっちをローストにより表現したいのです。
そして、抽出でもこちら側を表現してもらうことで、当店のコーヒーが活きてくる。
わからなくても、何かその違いを感じられればそれでいい。
そして、それをわかるようになりたいと思ったのなら、学ぶことで理解ができるようにもなります。
ボクのように。