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良質さは、液体の粘性と明るさを感じることから。

公開日:2022年4月2日更新日:2022月04月02日
カテゴリ:良質さのお話。, 論理的な考え方

良質さは、液体の粘性と明るさを感じることから。

もう20年以上も感覚の育成に取り組んできて、年々いろんな良質さの意味を感じ取れるようになってきた。
でも、感じ取れるようになると、それは当たり前となってしまい、感じ取れていない人の「学びの基礎」をどこに焦点を当てなければならないのか?を見落としてしまいがちになる。

そこで、ボク自身を振り返ってみることにした。
今から20年前のお店をオープンした頃のことを。

その頃は今と違って、円錐のペーパフィルターを使っていた。
今から思えば、フレーバーの何を持って良質さであるのか?を解っていなかったから。

そして、一番最初に気づいたのは「液体の粘性」だった。
仕入れの際は、テイスティング・グラスを使ってテイスティング・スプーンを使ってカッピングをしていて、その当時のコスタリカに、とても良質な粘性の豊さを感じ、その豆を仕入れた。
しかし、実際に仕入れて、実際にローストをして円錐のペーパーフィルターで抽出をして、カッピングしてみたら、「あれ?」っとなった。

あの芳醇で豊な液体の粘性が感じられないのです。
そこで、「なんでか?」を考えてみた。
もしかすると、テイスティング・グラスだとオイル分も抽出されるのですが、ペーパーだとオイル分は抽出されていない。
そこで、金属フィルターを使ってドリップをしてみたところ、しっかりと「粘性」の芳醇さが感じ取れるようになった。

その頃のボクは、まだ「質感」をきちんと感じ取れてはいないので、「液体の粘性」の違いを感じ取れていたのだと分析をする。
今なら言えるけれど、「質感」と「液体の粘性」は違う。
「質感」の理解はハードルがかなり高い。
ボクもつい最近「質感」とはそういうことなのか!と感じ取れるようになったくらいだから、まずは「液体の粘性」の違いをきちんと感じ取れるようになることからがスタート。

液体の粘性の正体は、オイル分であったり旨味成分であったりするのだと考えている。
それは、素材から登場する粘性と、ローストによってもたらされる粘性、使用するお水から登場する粘性、コーヒーミルから登場する粘性という具合に、いろんな要素から粘性も登場している。

まずは、その触覚で触れて感じる「粘性」の豊さを感じ取れるようになることが基礎である。

そして、もう一つの基礎は、「明るさ」を感じ取れるようになること。
粘性を感じ取れるようになって、もうしばらく経ってから「明るさ」を徐々に感じ取れるようになった。

そして何かの実験で、同じ豆を使い、ペーパードリップと金属フィルターのドリップでその違いをカッピングしたことがあった。
すると、「粘性」だけではなく、「明るさ」も半減してしまうことを感じることができたからだ。

今現在の新規のお客さんの99%くらいは、ペーパーフィルターを使用している。
それは、以前のボクと同じで、ペーパーフィルターを使うことで良質さが半減することを知らないことと、それを感覚でも気づけていないから。

人は気づけるようになると、行動が変わる。
良質さを感じ取れるようになるためには、「粘性」と「明るさ」を感じ取れるようになることが最初の一歩なのだと思う。
そこが、感じ取れるようになったら、その次のステップがある。

1段抜かしで歩んでいこうと考えても、感覚は成長できない。
確実に成長していくためには、1つずつ、一歩ずつ歩んでいくしかないことをボクは経験から知っている。

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