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飲みやすいは、良質さとは異なる表現。
公開日:2022年3月9日更新日:2022月03月10日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
ボクは普段から、すべてのことを「焙煎(ロースト)」に結びつけて考えている。
それくらいコーヒー焙煎は難しくて、とても奥が深い。
でも、コーヒー焙煎が簡単だと考える人たちもいることも事実。
そういう人たちは、最新式の焙煎機でローストをしている可能性が高い。
最新の焙煎機は、ダンパ装置も最初から無いものも多い。
メーカー側の焙煎に対する技術力が上がったことで、設計の段階でダンパ装置を必要としない焙煎機を考え、そして販売・設置している。
車で例えるなら、マニュアルの車ではなく、オートマチックの車が普及してきていること、そして今の時代ならAIが自動で運転してくれるようなこと。
誰でもが運転できるようになった分、乗りやすくて、心地よい。
これは、コーヒーでも同じで、誰でもが比較的安定して味づくりができる。
焙煎において装置数が少ないということは、その装置による味づくりが削られるということなので、味づくりの幅は抑えられてしまう。
ゆえにローストによる個性は登場しづらい味づくりと自ずとなる。
いわゆる「飲みやすい」という味になりやすい。
なので、自分の味づくりをしたいと考えた場合には、焙煎は難しくなるのですが、ダンパ装置があった方が個性的となる。
ですが、その分難しさは跳ね上がる。
特に、蓄熱性の低い当店で使用しているような焙煎機の場合は、その難しさが桁違いに難しい。
だから皆、扱いやすい焙煎機に買い替えているお店がほとんど。
でも、それでは技術力は育たない。
扱いやすい焙煎機だとしても、ローストの成り立ちは同じなので、難しいが焙煎の成り立ちの論理を理解している人は、繊細な部分まで味づくりができるのだと考える。
ほんのちょっとしたことだけれど、そこが理解できている人と、出来ていない人では、そのほんのちょっとの味づくりの部分が違うので、完成度が違ってくる。
何を目指して味づくりをするのか?
すべては、そこから始まっている。
「飲みやすく」誰でも受け入れてくれる味づくりにするのか?
それとも、良質で個性的な美しさを表現したいのか?
道具選びとは、目指す味づくりのための第一歩である。