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バリスタと焙煎士の目線の違い。
公開日:2022年2月3日更新日:2022月02月05日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
たまにバリスタさんと話をすることがあるのですが、バリスタさんはローストを知らないので、どうしても抽出目線でコーヒーを捉えがちなんだと思っている。
ロースター(焙煎士)は、ローストをしているので、抽出もロースト目線の抽出を考えがちである。
そして、一般消費者はどちらかと言えばローストを知らないので、バリスタさんの影響を受けがちなのだと思う。
なので、どうしてもバリスタさんがメディアに好まれる傾向があると思っている。
本来、コーヒーを語る上で、ロースト(焙煎)は切っても切り離せないポジションなのですが、意外と語られない。
焙煎士はあまり表に出てこないことも、その理由の一つなのだと思うのですが、コーヒーにおいてローストは「要」なのだと思っているのですが、知られていないことがとても多い。
バリスタ目線にしろ、焙煎士目線にしても、最終的にはカップの中の液体の美味しさのために一貫性がなくてはならないと考える。
焙煎士は、仕入れも行い、そしてローストも行う。
それは、味づくりを考える上で、仕入れの重要さは味づくりの一貫性の初めの一歩だからだ。
なので、仕入れ・ロースト(焙煎)・抽出と考え方が繋がっていなくてはならない。
たまにバリスタさんと会話をするとエイジングという言葉をよく耳にする。
ボクが考えるベストなローストとは、ローストを終えてからの経過時間で「どこを切り取ってもバランスが良い」という状態がベストなローストのバランスなのだと考えている。
だからエイジングという概念は、ベストなローストが施せれば、それほど重要ではないと考えている。
しかし、ローストによるダメージ(オーバー・アンダー)があったり、ローストのバランスが悪かったりした場合には、エイジングをすることでそのローストのダメージやローストのバランスの悪さを補うことが出来るテクニックであるのだとも思う。
しかし、ベストのローストはとても難易度が高く難しいので、エイジングという技術が生まれてきた背景があるのだと思っている。
何十種類ものコーヒー豆を取り扱うショップでは、ベストのローストを日々の仕事の中で行うことは不可能だと思う。
それは、1銘柄ごとにローストのベストの設定を見つけていかなくてはならないから。
10銘柄取り揃えているショップと20銘柄を取り揃えるショップでは、その1銘柄ごとのベストなローストを日々の仕事の中で取り組める限界というものがある。
なので、当店では6〜7種類の銘柄しか同時に取り扱わない。
出来るだけそれぞれのコーヒーの銘柄ごとにベストなローストを施したいから。
これは、今までの焙煎という仕事を26年間してきて思ったことからそうしている。