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ローストのフレーバーの成り立ちを理解するカッピング。
公開日:2022年1月21日更新日:2022月01月21日
カテゴリ:感覚のはなし, 焙煎の味づくりのこと。
当店ではサンプルのコーヒーは、業者さんでサンプル・ローストしたものをいただいている。
もうオープン当初から取引のある生豆問屋さんなので、サンプルのローストを信頼しているということもある。
もう一つの勉強としては、ボク以外の人のローストをカッピングするためという目線も兼ねている。
まったく面識のないお店のローストだと、ローストについて話はできませんが、長年取引のある業者さんだとローストについての話もできるからです。
すると、業者さんのサンプルロースターと、当店で昨年購入した小型ロースター(ディスカバリー)、そして当店の本釜の5kgの焙煎機とのローストの違いを知ることができる。
そういう焙煎機の違いによるカッピングをしていくことで、焙煎機の特性やダンパ装置の意味、そしてインバーターの意味を理解することができるようになる。
近年だとダンパ装置が無い焙煎機もあり、インバーターで制御したりする。
なぜ、ダンパ装置が無くても成り立つのか?
その意味が理解できると以前からある焙煎機(当店のような焙煎機)のダンパ装置の使い方が理解できるようになる。
すると、ダンパ装置の無い焙煎機はなぜインバーターで制御するのかという意味も理解できるようになる。
そういう考え方を論理と呼び、その論理が正しいかどうかを検証していくことがボクたちの仕事でもあり、正しい論理の上に成り立つ焙煎技法が良質さを登場させることができるものである。
もちろんそのためには、カッピングにより「ローストのフレーバーの成り立ち」が理解できなくてはならない。
要は、フレーバーに登場している「ローストの設定の変化による、フレーバーの登場の仕方」を見れなくてはならないということ。
意外とこれらが感じられるようになるまでに時間を要する。
そのためには、まずはコーヒー・カッピングで、評価項目ごとの評価ができるようになること。
ある程度、口の中で広がる味覚・嗅覚・触覚の3つの感覚で感じている「質」が見えるようになると、ロースト由来のフレーバーも見つけれらるようになるので、Qグレーダーの資格を取得するための勉強をしていくことで感じられるようになると思っている。
そうすることで、ローストによる熱量の与え過ぎの「オーバー」と、適正なローストが施されていないために良質の酸味がローストによって登場していない「アンダー」が理解できるようになります。
ボクの経験上ですが、オーバーはローストのダンパ設定の主に3箇所の設定でそれぞれ登場し、アンダーは主に適正なダンパとロースト時間が関係している。
どちらの表現もローストによって良質さを欠いてしまっている表現ですので、ローストによるダメージとなる。
まずは、「ローストによるダメージを与えないという感覚が大切」だと考えていて、良質なローストとは「まずはダメージの無い中で表現をすること」だと思っています。
そこが、好みの追求をしている表現者と、良質なものを手掛けたいと探求している表現者との大きな違いだと言えるでしょう。
ですので、そこが理解できるようになると、表現者の意図をカッピングで読み取ることができるようになる。
本来カッピング(テイスティング)とは、そういった表現者の意図や登場しているフレーバーの意味を感じ取るためにあるものなのだと思っている。