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「好み」の追求ではなく、「良質さ」の探求をしてみてはいかが?
公開日:2020年8月26日更新日:2021月09月11日
カテゴリ:良質さのお話。, 講座。
今週の月曜の定休日に、ビオあつみエピスリー浜松店でテイスティングの基礎講座を開催してきました。
そこで、とある受講者の方の考え方が、ボクの伝えたいこと食い違っていると気づいたので説明をしておきたいと思います。
ボク自身の取り組みで、「焙煎技術の向上」は、この仕事に携わっているうちはずうっと意識していないといけない取り組みなのだと考えています。
そして、焙煎の技術というのは、簡単に述べると「美味しいコーヒーを飲むための、味わいのバランス作り」とでもいうのでしょうか。
そこで重要になるのが、「仕入れ」なのです。
良質の素材(コーヒー豆)と、一般流通している素材の違いは何か?と聞かれたら「非凡さ」だと答えることだと思います。
「非凡さ」とは、「並のものよりもずっと優れているもの」とか言われています。
並のコーヒーを、業界ではコモディティコーヒーとか呼んでいるのですが、コモディティコーヒーの特徴は、酸味とフレーバーにフルーツ感が無く、フレーバーには種から由来して登場する「植物系」のウッディ(木のような香り)が登場しています。
そこで、スペシャルティコーヒーのレベルになると、フレーバーにフルーツ感が登場し、ホントに良質なスペシャルティコーヒーには、フルーツのような酸味が備わってくるのです。
なので、焙煎による味づくりでは、酸味とフレーバーにフルーツ感が登場するように、焙煎を施します。
要は、素材のポテンシャルを引き出すという取り組みの味づくりです。
しかし、コモディティコーヒーで、スペシャルティコーヒーのように素材を引き出す焙煎をしてしまうと、植物系のウッディのフレーバーが前面に登場してしまいます。
そして、酸味にはフルーツ感が無いので、その酸味を前面的に登場させる味づくりでは、美味しく感じる味づくりにはなりません。
ですので、コモディティコーヒーの場合では、できるだけ素材の酸味やフレーバーを「活かさないように、抑えて」ローストの甘いフレーバーを前面に登場させる技術を用いることで、ローストの甘いフレーバーで素材のフレーバーを隠すような味づくりが求められます。そうすることで、コモディティコーヒーを美味しく表現できると考えています。
が、要は素材の劣る部分を誤魔化しているという美味しさの味づくりです。
どのような素材を使うのか?で、美味しさのアプローチが異なるということです。
講座を受講されたある受講者の考え方は、焙煎技術があれば、どのようなコーヒー豆も美味しくなるのだと考えているみたいでした。
美味しくはなるとは思いますが、良質な素材でなければ、素材を活かす味づくりは出来ないし、良質な素材をわざわざローストの甘いフレーバーで誤魔化すという味づくりをボクはしようとは思いません。
ということは、素材が活かされている味づくりの部分を美味しいと感じてもらいたいし、だから「良質な素材を使うんだ」というところを感じ取ってもらいたいのです。
そのためのテイスティングの基礎講座なのです。
そういった、「感覚で感じとる」ためには、どのような取り組みをしていく必要性があるのか?という講座なのです。
その感覚が備われば、素材の良さ、抽出器具選び、お水選び、グラインダー選び、すべてが「良質さ」を登場させるために選ぶことが「感覚」によって選べるようになります。
意外と、「素材の良さを感じとること」は高度な感覚を必要としますので、「好み」ではなく、「良質さ」を探求していただけるようになると、いろんなことが理解できてきますので、また講座に足を運んでいただければと思っています。
ちなみにこれらを「価値観」と呼びます。
人は、その作り手の創造の価値観を評価して、購入して褒めたり、逆に批判したりをします。
ボクは、感覚で感じることで、その作り手が「何を考えて、これを作っているのか?」が大切なんじゃないのかな?と考えるタイプです。
そのために「感じとること」が大切なのだと考えているのです。