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好みの追求と、クオリティ(良質さ)の探求のちがい。
公開日:2020年10月3日更新日:2021月09月05日
カテゴリ:お店のこと。
昨日の夕方は、依頼があって当店のコーヒーを普段から購入して飲んでくれている親子が、「テイスティングの基礎づくり講座」をお店でおこなった。
ひと通り説明をした後に、3種類のコーヒーを粉の状態(Dry)からチェックをしてもらい、そしてテイスティング・グラスにお湯を入れて4分間浸け置きしてから、カッピングをしてもらった。
(*現在は、テイスティング・スプーンを使わずに、別のカップに移してカッピングする。)
3種類のうち、2種類は当店のトップ・スペシャルティ(86ポイントupの豆)ともう1種類はどこかにダメージがある豆。
それを混ぜて、同時にカッピングすることで、どこに劣る部分があるのかを比べて判断してもらうためにそうしています。
そして、1つずつカッピングしながら、フレーバーや酸味、液体の質などを解説していきます。
昨日の劣るコーヒーは、当店ではない焙煎のコーヒー豆で、ローストのダメージを解説しました。
すると、一緒に来ていた方の一人が「私はこっちの方が好き。いつも飲んでいるコーヒーに近いから。」とコメントをしていました。
ボクは、ずうっとテイスティングを学んでいるので、どういうものがクオリティが高くて、どういうものがクオリティが低いのかを勉強しているので、劣る部分があると、そこが美味しくは感じないのですが、一般消費者はそういうクオリティ目線ではなく、「好みの追求」をしていますので、こういうことは多分にあることなのです。
以前のボクもそうなのですが、多くの人たちは「自分はそれなりに分かっている」と思い込んでいます。
ボクもそうでした。
自分は「品質はある程度は理解している。」
そう思い込んでいます。
ですが、実際は「好みの追求」となってしまっているので、品質が良いのか劣るのかで美味しさを判断している訳ではなく、好みか好みでないかで美味しさを判断しているので、とても良質なものと出会っても感動することなく素通りしてしまうことが多分にあります。
基本、テイスティングは表現力という意味合いよりも、フレーバーの情報を感じとり、「どのような特徴があるのか?」を分析することが目的だと思っています。
それくらい人の美味しさは「好み」に流されやすいということです。
当店の存在は、「良質なものをわかるようになりたい。」という人に向けて存在しています。
それは、良質なものほど作り手の想いが込められているからです。
でも、きちんと理解できなくても、なんとなくはその違いに気付いている人もたくさんいます。
「香茶屋のコーヒーはよそと比べると何かが違う。その理由を知りたい。」
そういう人は、ぜひ「テイスティングの基礎講座」を受講していただけたらと思っています。