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ローストの景色。
公開日:2025年3月1日更新日:2025月03月01日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。

これは職業柄なのかもしれないが、ボクは「ローストの景色」を見て味づくりをしているのだと最近気づいた。
ローストの景色とは、その言葉そのままで、ローストによって変化をしている、ローストの「色とカタチ」を見る景色だ。
なので素材を見ている訳ではないのだ。
素材はローストの景色の背景に配置してあるので、仕入れで間違えないことが重要であり、良い仕入れが出来ていれば背景に配置した素材の酸味やフレーバーが、ローストが秀逸だった場合には勝手に登場するため、ボクが見ている味づくりでは、ローストの景色の状態を緻密に表現するということを味づくりとして取り組んでいることに、自身で気づいたということになる。
かれこれ30年もコーヒー焙煎に取り組み続けているが、ローストにおける味づくりが「何をしているのか?」という核心に気づいたのは、つい最近のことなのだ。
なので、ローストによるすべての変化をキャッチできるようにならないと、なかなかその目線の味づくりが出来ないものであるのだ。
だから、ボクはここまで時間がかかってしまった。
なので、スペシャルティコーヒーのカッピング(テイスティング)が出来れば、ローストが思いのままに出来るわけではないのだ。
いくらQグレーダーの国際資格を持っていたとしても、それは仕入れの際に使うスキルであって、ローストの味づくりで使うスキルではないという意味である。
もちろん、仕入れで良質なコーヒーを買付する際には、Qグレーダーのスキルは必要不可欠なスキルである。
なので、スペシャルティコーヒーにおいて、良質さを追求するのであれば、2つのカッピング・スキルを必要とするものになるのだ。
一つは、仕入れの際に必要になる、カッピング・スキルである。
もう一つは、ローストの際の味づくりで必要となる、カッピング・スキルである。
2つのカッピング・スキルは、それぞれ対象とするモノがまったく違う目線になる。
なので、仕入れとローストとを、それぞれ専門的な担当者を配置をするか、もしくは一人の従事者が2つの目線を手に入れるか、良いコーヒーを手掛けるには、どちらかしか手段はないのだと思っている。