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情緒を感じること。そして感情が動かされるもの。
公開日:2020年12月17日更新日:2021月09月03日
カテゴリ:焙煎の味づくりのこと。
コーヒーの味づくりは、結局のところ実際に焙煎したコーヒーを飲んで確かめるしかない。
なので、どうしても味づくりの特徴としては後手になる。
飲んで味わいのバランスが変化したことを確認してから、「では、次の焙煎をどうしようか?」となる訳です。
季節の変化を予測して、飲む前に焙煎の設定を変えたとしても、その焙煎されたコーヒーを飲んで確かめることで、その予測した設定の是非を判断するしかないのです。
ですので、結果からでしか、そのプロセスを肯定も否定もできない訳です。
この数日で「冬」を思わせるような気温になり、急激に気温が下がりました。
こういった季節の移り変わりで、コーヒー豆に与えられる熱量の入り方が変わるので、当然コーヒーの味づくりのバランスも変わってしまいます。
当然のことながら、焙煎の設定を微調整しながら日常的に味づくりに取り組んでいます。
ここ数日の焙煎で、どうも茶色が主張をするようになった。
前半から後半まで、一貫して茶色が登場するようになる設定は、「あそこの設定だな」とある程度は予測はつくのですが、それでも2〜3箇所のどれだろうと想定される。
その2〜3箇所の設定がどれなのか?
1箇所ずつ微細な設定をして、大きく外れないような設定で焙煎をする。
そして、焙煎されたコーヒーをカッピングをする。
するとAという設定とBという設定を比べてみると、どちらの設定も茶色の登場の仕方が穏やかになった。
しかし、感情が揺れ動く設定はBという設定だった。
どちらの設定も美味しいのですが、Bの設定は感情が動くのです。
それは、情緒的な味づくりができた時に発動するのです。
この情緒的な部分は、日常生活の中でそういうことをしみじみと思えるかどうか?が大きいことだと考えています。
ちょっとしたことで、しんみりとそれを感じ、愛でることができる出来ないは、年の功という背景もあるのではないかと思うほどです。
情緒を感じることができるからそれを選ぶことができる。
そして、より微細な違いを感じとり、それを味づくりに反映させることが技術的に必要とされるのだと思うのです。